「戯曲を愛する」無料塾レポート(〜25時間)
初めての雨。寒い。だけど稽古は朝10時から始まる。
人が集まると場も暖かくなって、そんなことも忘れていく。段々とこのチームが良くなってきた証拠だとも思った。
野口体操で身体をゆるめて、綱渡りをやる。
テープが貼られた上を、両サイドから人が少しずつ歩いてくる、身体には触れてはいけないが、手だけに触れて相手を退かす事もできる。
不安定な足場の上で、キャアキャア言いながら、相手と押し合ったり、揺さぶりあったり。僕はこの綱渡りバトルは演技と同じだと思っている。
でも、不安定な足場の上に立っていることは、演技ではよく忘れられてしまう。皆安定した状態から、セリフを発しようと、プラン通りに演じようとする。しかしそれだと、この綱渡りバトルほどのハラハラは得られない。ぴっちり揃って安定したジェンガを見ても何とも思わないが、今にも崩れそうなジェンガは見ていてハラハラする。それと同じ。僕らは不安定な状態でいたい。
舞台上で不安定にいるためにどうすればいいか。相手に委ねる?プランしない?重心の位置を変える?マルチタスクにやる?…方法は様々。感覚を掴もう。
その後は、まだやっていない人のモノローグとエクストラステージ。
自分が愛してやまないセリフを発表する。だからこだわる。なぜこれをやるかの理由があり、なにを見せたいかの意図があり、お客さんにこれを持って帰って欲しいという願いがある。客席の位置まで工夫してくれたのは嬉しかった。
全ての戯曲をそれだけの愛を持って望む。今回の無料塾の選考で落とした人の中には、戯曲に対する愛情が感じられなかった人もいた。それは非常にもったいない。なぜなら技術ではないから。
技術なら仕方ない。でも、戯曲を愛し、工夫することは誰にでも出来るはずだ。それが出来て初めて、どうやったらもっと意図が伝わるか、お客さんの心を動かせるか、という話に進める。そこまでは準備段階。
今回で、そのことがメンバー全体に伝わったのはよかったし、誰一人として手を抜かずに取り組んでくれたという結果を得られたことは、次の段階へと進む上でクリアしておきたかったことだ。ここから僕らは更に先へ進める。
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