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「寺で出来る演劇『クォンタム・アリアの碧い首』」終演に寄せて

こんにちは、#家で出来る演劇 ディレクターの日野あかりです。
2022年8月26~28日に上演しました「寺で出来る演劇『クォンタム・アリアの碧い首』」、無事に全ての公演を終了しました。

また、終演後一定期間が経ちましたが、その間に関係者・お客様から体調不良のお申し出はなく、その意味でも無事に終了することができた、と言えそうです。

全てのお客様、関係者の皆様に感謝申し上げます。

現在、配信映像の販売を行っております。視聴期間はなんと1年間。いつ観ても、何度観ても、楽しめる作品です。大阪公演の会場である萬福寺にて撮影し、カメラ5台による「映像作品」となっています。
また戯曲付き写真集(絶賛編集中です…)は、緑豊かな東京会場で撮影した上演写真と戯曲を、シーンを揃えて掲載している冊子でして、これまでの #家で出来る演劇 の公演でも作成し、好評をいただいております。臨場感をぜひ文字と写真で味わってみてください。

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さて、正直まだ「終了」という感じではありません。
無理やりにでも「終演に寄せて」何かを言語化することで、自分の中の整理をつける必要がありそうです。

①場所の話 ②人の話 ③3大上演危機の話
のメニューで進めてみたいと思います。書いてみたらめちゃくちゃ長くなりました。よろしければお付き合いください。

①場所の話

#家で出来る演劇 は「劇場ではない場所」で上演することが特徴です。今回は一番最初に場所を想定し、そこにしっくりくる座組を作っていきました。
東京会場である神谷町光明寺オープンテラスは、コロナ禍前から音楽ライブ、講演イベント、おもてなしカフェなど開かれたお寺として運営されていた場所で、そのことを知人から教えてもらったことが契機でした。
2022年1月・真冬の昼間に、まずは様子を見てみよう!とお寺を訪れて、あまりの清浄な雰囲気と、この世のものとは思われぬ不思議な景色に圧倒されました。
と同時に、この場所で演劇をするイメージが明確に自分に湧いてきて、1人でこっそり興奮したことも覚えています。

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大阪会場である萬福寺山門会館は、東京のお寺をご紹介・仲介してくれた方のご実家のお寺です。
東京会場の神谷町オープンテラスでは法事やおもてなしカフェを行うため、通常の劇場のような時間・期間で場所をお借りすることが出来ないものの、もう少し多くの方に作品をお届けしたい、と考え別のお寺を探していたのですが、その際に大阪だったら…というお話があり、思い切って大風呂敷を広げることにしました。
萬福寺も寺カフェをやっていたり、ヨガや書道、落語公演や音楽ライブを開催していらっしゃるお寺で、今回私が求めていた「間(はざま)」というモチーフにぴったりと合う場所で、利用させていただき有難い限りでした。

お寺での公演を実施するにあたり、どこのお寺でも「仏教に関連する内容」であることを求められました。もともと場所に合わせた作品づくりを目指している #家で出来る演劇 にぴったりのオファーです。
また、営利施設ではないので、チケット代を低めに設定する必要もありました。(驚きの価格設定の理由はこれです)

劇場で公演をするときには起こらない、いろいろなイレギュラーがありますし、実際に結構大変だった(一度断られた後にそこを何とか…!とねじ込みました)のですが、それだけ特別な公演になったかな、と思います。あとでまた場所の話は出てきます。

②人の話

お寺での公演をしたい、という思いを持ちながら座組を考える中で、「作演出は絶対に架空畳の小野寺さんにお願いしよう!」とかなり最初の方から決めていました。小劇場界隈では類を見ない博識、そしてその知識を換骨奪胎する作風は、仏教という普段あまり触れない要素を作品に取り入れるのにぴったりだと確信していたからです。
そしてせっかくの外部劇作なので、普段の架空畳でやっている様式とはまた別のところに、小野寺さんの戯曲の魅力を発掘・そして披露したいという、大変勝手な欲望を抱いてしまい、「会話劇」というジャンルでオファーしてみました。小野寺さんの戯曲は凄まじい情報の渦が轟いているような印象がありますが、ふとした瞬間にすごく人間らしいやり取りや、何故だか切なくなるシーンがあり、そのある種「ドラマ的」な部分をもっと強く出してみたらどうなるだろう、と前々から思っていたのです。
とはいえ、全く異なる文体でのオファーなので、結果がどうなるかわからないな、、と最初から思っていましたが、その後8ヶ月の間「これは会話劇じゃないです〜!」と楽しく!お話しまして、最終形態の戯曲を書き上げていただきました。小野寺さんの後書きもぜひ合わせてご覧ください。とても笑いながら読みました。

過去2回の公演を一緒に作った佛淵くん、2022年3月のやみ・あがりシアターで共演した依乃さん、何度も作品を拝見して素敵だな…と思っていた山森さんに俳優として参加していただきました。
小野寺さんと作品について話すなかで、全くタイプの違う人を集めたいという思いがあり、ルックスや年齢に差があることをポイントとして考えつつ、そして何よりもお芝居が好きな方にお願いをした次第です。なにせ、お寺での稽古は全く出来ない・公演当日に場所合わせをしなくてはいけない・東京が終わってすぐ大阪で乗り打ち!という大変な要素がてんこ盛りの公演になってしまったので、演劇を愛している方々の情熱に頼ったという内情があります…。本当に嵐のような公演でしたが、最後まで真摯に作品に関わってくださり、感謝でいっぱいです。

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いつもながらスーパーミラクルな働きをしてくれる舞台監督の水澤さん、架空畳の制作・永井さん、素晴らしい配信映像を撮影編集してくれた吉田さん、米田さん。そして大変評判がよく、誇らしいほど素敵なビジュアルを作ってくれたかのんちゃん、写真だけでなくティザー映像(これ、本当に格好いい)まで製作してくれたしんまつさん。まさに精鋭というにふさわしいスタッフの皆さんに関わっていただけたことも、この作品が上演できた大きな要因です。BIG LOVE!!!

③3大上演危機の話

すごく不穏なタイトルですが、言ってしまうとお寺使えるか問題、コロナ大丈夫かな問題、あとお金の問題です。(お金に関しては生々しすぎるので割愛します!)

上演情報を公開したときから注意点として掲載していましたが、会場となるお寺で法事等の用事が入った場合には利用中止、かつ当日近くなるまでそれが確定しない、という大変不安定な状態にありました。最初からわかっていたとはいえ、ずっと胃が痛かった…。当初は中止になったら大阪だけで公演を実施し、配信公演をメインにしよう、と考えていましたが、作品づくりをするなかで、これを観てもらえないのは勿体なさすぎる…という欲が湧いてきてしまい、北千住BUoYの地下スペースを押さえることに。その場合の劇場の使い方やスタッフさんの手配などを考える必要が生じ、もう1会場増えたかのような大変な作業となってしまい、スタッフの皆様に多大なご協力をいただきました…。結果的には無事にお寺での公演を上演することができ、BUoYを稽古場として使うという大変贅沢なことをしちゃいました。本当に、人が健康に生きててくれてよかったです。。。

コロナ大丈夫かな、問題は皆さんが一番実感されているところだと思うので、特にたくさん書く必要はなさそうですが、ひやひやの要素として捨て置けないものでした。しつこいくらいの消毒と換気の成果か、上演のタイミングでみんなが陰性だったことは奇跡のような確率だな、と思います。仏様ありがとう…。


ということで大変長々と書いてきました。
でもまだまだ「あれもあった」「これもあった」とネタが湧いてくるくらいには、思い出深い(大変な)公演でした。機会があればまた別の記事として載せたいと思います。

ここまで読んでくださった方がもしいらっしゃいましたら、本当にありがとうございます。感謝ついでに、ぜひ配信と戯曲付き写真集の購入をご検討いただけるともっと嬉しいです!(何故なら割愛した生々しい問題があるので!嘘です、作品が素晴らしいのでたくさん見て欲しいです!!!)

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#家で出来る演劇 ディレクター 日野あかり

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