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冒険遊び場(プレーパーク)とは②

以前、冒険遊び場(プレーパーク)の説明を試みました
以下、まとめを再掲してみます。

「子どもの「やってみたい」という気持ちを刺激し、子どもが今その時を思うまま、ありのままに自由に遊び過ごすことができるように環境づくりをしている、主に屋外の開かれた場」のことで、
子どもにとっての遊びの重要性を理解し、子どもの気持ちに寄り添う大人を中心に、住民参加型で運営されていて、
子どもの力でその場に変化を加えることができるようにした上で、様々な道具・工具や素材を用意している場です。
そして、この場所は単に子どもの遊び場というだけに留まらず、様々な価値が生まれる場になっています。

改めて読んでも、冒険遊び場に関わっている人ならまだしも、そうでない方には多分伝わりづらい・・・。
ということで、今回は私の冒険遊び場像をもとに、もう少し特徴を紹介していきます。全ての冒険遊び場に当てはまるわけではないですが、こんなことを考えて運営している場所ということで読み進めてください。

屋外+自然

屋外、その中でも木火土水といった自然の要素が豊かな場所を選んで開かれています。
子どもの育ちには五感への様々な刺激が必要です。また、場に多様性があるほど遊びの可能性も広がります自然は刺激にあふれていて、様々な遊びの素材も提供してくれます。泥遊び、落ち葉の山、ダム建設、枝を集めて焚き火、どんぐりなどの木の実も素敵な素材です。昆虫などの多様な生き物と出会えることも大切な刺激ですね。

子どもの力で形を変えられる(壊したりつくったりできる)

形を変えられること、別の言葉に置き換えると「壊すことができる」ことは、子どもの遊びにおいてとても大事な要素です。「スクラップ&ビルド」という言葉がありますが、破壊があるから創造も生まれます
でも今の子どもたちの周りは硬い人工物ばかり(アスファルト、コンクリート、タイルにレンガなどなど)です。それでは、そもそも「変えてみたい」という発想にはなかなか思い至らないです。そこで冒険遊び場では、土の地面に穴を掘ったり、木にロープを結んでロープ遊具を作ったり、木材や布で基地を作ったりできるようにしています。自然の要素が豊かな場所を選ばれるのはこのためでもあります。

余談ですが、身近にある公園には大体砂場がつくられていますよね。幼児から小学校低学年はもちろん、小学校高学年から時に中学生も夢中になって山や城を作って遊んでいるのを見たことがありませんか?
砂場は昔からブランコ・滑り台と合わせて、公園の三種の神器と呼ばれていてますが、それは壊して創れることのできる遊びの最後の砦として整備されているのかもしれません。

子どもが使える道具や素材を用意している

「子どもが自分の力で形を変えられる」がより豊かにできるように様々な道具や素材を用意しています。
金づちやノコギリ・小刀などの工具、スコップやクワ、様々な太さのロープ、鍋やフライパン・包丁などの調理道具、お椀やお箸、バケツ、マッチ、筆記用具に文房具、材木・端材、釘、布、紐、テープ、小枝やどんぐりなどの自然素材などなどに加えて、けん玉やベーゴマ、竹馬、縄跳びなどのいわゆる遊びの道具も用意していますが、それらも決まった使い方に縛られません。
子どもたちは(大人も)これらを使って、木工作したり、ロープで遊具的なものをつくったり、落とし穴掘ったり、基地をつくったり、料理したりします。道具と素材が豊富であればあるほど、子どもたちの発想は広がっていきます(もちろん物がない中で工夫するのも、それはそれで楽しいのですが)。

自分で過ごし方を決められる

子どもは自分でやりたいことを見つるけることができます。そしてそのやりたいことを通じて、自ら育っていく力を備えています。時にはすぐにやりたいことがなくてぼーっと過ごすことや、逆にいろいろあってあえてぼーっと過ごしたいこともあります。
でも、大人は良かれと思って「みんなで鬼ごっこしよう」と遊びを促したり、「あなたにはまだ危ないから」といって遊びを止めたりします。特にプログラムを提供するような場所では、大人の想定の範囲に収めようとして、子どもが自分で考えて試すことのできる余白は少なくなりがちです。そういう時間ばかりになると、子どもは「やりたい気持ち」にどんどん蓋をするようになります
基本的に子どものやりたい気持ちが高まれば高まるほどに、時に大人から見ると色々な意味で「それ大丈夫かな」という遊びへと発展していきます。純粋な好奇心が挑戦心というエネルギーに変換されるのでしょう。でも、その挑戦が自分自身の限界を知ることにもつながる大切な機会なのです。そのような挑戦も含めて、冒険遊び場ではその子自身が過ごし方を決められることを大切にしています。

みんなに開いている

基本は子どもの遊び場ですが、大人も参加自由です。大体の活動場所には門などはなく、運営者や保護者だけでなく、近所のおじいさん・おばあさんや、たまたま通りがかったサラリーマンでも、ふらっと立ち寄れるようになっています。
もちろん子どもに危害や悪影響を与えないのは大前提ですが、大人も遊びたい(こんなことやっていたい)という気持ちは持っていますよね。ものづくりであったり、体を動かしたり、おしゃべりしたり、大人も思い思いに遊び過ごせることが子どもも「好きなように遊んでいいんだ」という安心感につながるし、遊びの刺激にもなります。
大人にとっても居心地のいい場所であれば、地域の大切な場所になっていきます。

そして、もう一つ大切にしていることが、どんな子どもでも遊びに来られる場にすることです。具体的には、参加費や入場料を徴収しないこと、登録制や申し込み制を取らないこと、参加が強制されるようなプログラムがないことなどあります。金銭の有無や保護者の承諾関係なく、子ども本人が来ることを選べるということを大切にしています。

子どもの遊びについて考え行動する大人がいる

何も知らずにたまたま冒険遊び場を目にして「ここは何?子どもにこんなことやらせて大丈夫?」と声をかけてくる大人の方がたまにいます。また、遊びが大事だと分かっていても、心配でどうしても子どもに干渉してしまう大人もちょこちょこいます。現代を生きる大人として、気持ちはわかります。
また、子どもも常日頃「やってはいけない」と言われ続けていて「やってみたい」という気持ちに蓋をしていることが多いので、「ここでは自由にやりたいことをやっていいよ」と伝えても固まってしまう場合があります。
冒険遊び場は場を用意するだけでは不十分で、子どもができる限り自由に遊び過ごすことができるようになるには、大人には場の意義や、そもそもの子どもの遊びについての理解者になってもらい、子どもには「ここではこんなことができるよ」という可能性を示唆し、「やってみたい」という好奇心を刺激することも時に必要になります。
そもそも「子どもの遊び場に大人が必要なのか」という指摘は昔からあるのですが、今の時代は子どもにとっての遊びの重要性を理解した上で、その可能性を広げるために、大人とも子どもともコミュニケーションをとり、道具や素材を準備したり、遊び心を刺激する遊具をつくったりする、つまりは環境づくりを行う大人の存在が不可欠なのです。
冒険遊び場の活動者は多かれ少なかれその役割を担っていますが、特に必要な専門性を高めることに努め、継続的に環境づくりに従事する人をプレーリーダーといいます。冒険遊び場には必ずしもプレーリーダーを必要としませんが、力のあるプレーリーダーいると、遊び場としての自由度や、居場所としての魅力が高まります。

いろんな運営の形がある

最初に冒険遊び場づくりの活動は全国400〜500あるとお伝えしました。それも一つの特徴といえます。以下、いくつかの項目について取り上げてみます。

《運営者》
任意団体からNPO法人、数は多くないですが企業や大学(学生)まで様々。
その中でも多いのは、子育て中あるいは始めた時は子育て中だった世代が中心の市民グループ、またその市民グループが法人格をとったNPOです。
他にも、自分の子育ては終わったけど地域の子育て世代を応援したいと言うシニアのグループ、町会や子ども会、子ども劇場などの子ども関係の団体や学生が運営しているものもあります。少ないですが、自治体が直接運営しているものも。

《活動場所》
公園で活動している団体が多いですが、雑木林や空地など、大学(学生)が運営している場合は大学の構内、小学校の校庭を使っている団体もあります。私有地を借りて活動している団体もあります。

《活動頻度》
毎日開催している団体もあれば、年に数回、数年に1回という団体もあります。自分たちのできる範囲で続けていくというのも、冒険遊び場活動の特徴の一つです。全体としては、月1〜2回から2〜3ヶ月に1回という団体が多いようです。

このあたりの情報は、NPO法人日本冒険遊び場づくり協会が「冒険遊び場づくり活動団体実態調査」の結果として公開しているので、より詳しく知りたい人は、そちらを見てみてください。

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以上、とりあえず思いつく特徴で大事だと思うものをあげてきました。細かく言い出すとまだまだあげられるのですが、他の記事の中で事例などと合わせてご紹介できればと思います。またこの記事も少しずつ追記、補強をしていきたいと思います。

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