【一首一句 その三十七】恋すてふ
【本日の一首】
恋すてふ吾が名はまだき立ちにけり人知れずこそ思ひそめしか(拾遺集、恋一、621、壬生忠見)
(鑑賞)
まるで恋する蝶。恋をしている私の噂が早くも立ってしまった。誰にも知られないように思いを寄せていたのになあ。
蝶だからね。やっぱり目立ちますよ。
この歌の中で助動詞「けり」と「き」が使い分けられています。
三句切れのところでけりが出てくるのは詠嘆でいいのだけれど、後ろできがきているのは事実を述べて、その上で軽く余韻が残っているので、これでいいのかなというところです。
【本日の一句】
思いそめてふの立ちける暮春かな
恋をしている私の気持ちを代弁するかのように蝶が飛んでいった、という趣旨の句です。
壬生忠見には足元に及びません。おそまつ。
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