「筆順の真実とタイミングついて」2022年5月12日

ども。



・雨がしとしと降っていた。しとしとって表現、何気に使用するのは小学生の時以来かもしれない。当時、国語の授業で擬音語と擬態語?みたいな単元のテストで、しとしとが出題された記憶がある。これが本当に私の体験談なのか、それともTwitter上に溢れている「息子が学校でこんな採点されてたんだけど…」と言って少し議論が巻き起こる系のツイートを自分の記憶と勘違いしているのかは定かではない。分かっているのは「雨がしとしと降っている」ことだけである。


・そもそもしとしと降っていなかったしな。割と強い雨だったし、なんなら明日は警報が出るレベルだし、梅雨も始まるし、しとしとではないかも。




・漢字の書き順の話。
日常会話でたまに、漢字の書き順についての議論が為される場合がある。有名なところであれば、「必」や「飛」などが書き順にバラツキがあるようだ。それで「どっちが正しいのか」という問いに直面して、Google検索で真実を知る……という光景は何回も体験していて、最早あるあるとして採用されてもいいのではないかと思う。


・さて。私は書き順に関する議論のぶつかり合いを観察しながら、いつもある雑学を思い出す。それは「漢字には書き順が定まっていることはない」というものだ。


根拠を述べる。

日本では1958年(昭和33年)に文部省(当時)から「筆順指導の手びき」が示された。この「筆順指導の手びき」(1958年(昭和33年)文部省編)は教育漢字881字について学習指導上に混乱を来たすことのないよう筆順をできるだけ統一する目的をもって作成された。
ただし、漢字の筆順は1字につき1つとは限らず、広く用いられる筆順が2つ以上ある漢字や、時代または国によっても差異が見られるなど、筆順に明確なルールがあるわけではない。
Wikipediaより




・また、上記の文科省「筆順指導の手びき」にはこう記されている。


本書に示される筆順は、学習指導上に混乱を来たさないようにとの配慮から定められたものであって、そのことは、ここに取りあげなかった筆順についても、これを誤りとするものでもなく、また否定しようとするものでもない。
「筆順指導の手びき」(1958年(昭和33年))「1.本書のねらい」より





・つまり、便宜上仮の筆順というのを定めているが、別にそれだけが正しい訳ではないのだ。故に、我々が正しい筆順だと思っているものは、あくまで「書き順の一つ」であり、時代や国などの文脈に応じて書き順は変わるため、絶対的なものではないのだ。


・閑話休題。

しかし、私はせっかくみんなが書き順の差異について楽しげに議論している中に、わざわざ「でも書き順って明確に定められているものじゃなくて」と空気をぶち壊すつもりは全くない。書き順に関する蘊蓄を衒学的に晒すくらいなら、自分が長年培っていた書き順を伝えて、いかに人と違うのかを堪能したほうが楽しいに決まってる。世の中正論だけが全てではないのだ。


・そうして書き順の妙を骨の髄まで語り尽くしてから、書き順の真実を皆に伝えるなり、帰ってブログに書くなりすれば良い。


・知識ってタイミングだな。限られたコミュニティだと知識はひけらかし得ではなくて、やはりちゃんとした文脈内でスマッシュを打つことで初めて意味を成す。


・知識がすごい人とかけまして、東南西北く發中と解きます。その心はどちらも「はくがく」でしょう。


・お後がよろしいようで。

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