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古代エジプトのネコ崇拝 - 神々の象徴として崇められた神秘の生き物〜 「河江肖剰の古代エジプト」より

はじめに

みなさんはネコ、好きですか?
ペットとしても人気のある動物で、みなさんにとっても馴染み深い動物かもしれませんね。

そんなネコですが、実は古代エジプトでは神様として崇拝されていたということは知っていましたか?この動画では、エジプト考古学者である河江肖剰先生が古代エジプトのネコについて詳しく解説されています。

古代エジプトにおけるネコという存在

古代エジプトでネコは重要な存在でした。それは単なるペットとしてだけでなく、神聖視され、神々の象徴としても扱われていたのです。ネコには特別な装飾品がつけられ、耳にはピアスを、そして首にはウアジェトの目と呼ばれるペンダントをかけられていた可能性があると言います。

胸元にペンダントが刻まれたネコの銅像

そんなネコですが、いったいいつからペットとして家畜化されたのかという話には、どうやらまだ議論の余地があるそうです。ただ一般的には、中王国時代にネズミを狩るために家畜化されたと言われています。

新王国時代になると、ツタンカーメン王やラメセス2世、ハトシェプストといった有名な王や王妃たちが現れますが、その時代にはネコは家庭の一員、つまりペットとして飼われるようになったと言われているようです。

ネコの葬儀と宗教的役割

古代エジプトではネコは死後も尊重され、丁寧に埋葬される存在でもありました。また、ネコが亡くなるとその身体をミイラ化し、愛するネコを神聖視するために埋葬されることもあったといいます。こちらの画像は1892年に発見されたトトメスという王子のネコの棺として知られています。

トトメス王子のネコの棺

それからネコは新王国時代以降になると、ネコは宗教的な役割を果たすようになりました。ネコは太陽神を守る化身とされ、聖なる獣と見なされるようになったのです。

右足で大蛇の頭を押さえ、左足でナイフを握っているネコ

例えば、ルクソール西岸のデル・エル=メディーナにある職人インヘルカウの墓には、大蛇アポピスを退治するネコの姿が描かれています。猫が左足のナイフを使って蛇を切り刻もうとするなんとも勇ましい姿のネコが描かれたシーンになっています。

ロバの耳をしたネコ?

またこちらに描かれたネコをよく見ていただくと、耳が異常に大きなネコが描かれているのが分かると思います。当初はウサギの耳に見えると言われていたようですが、最近の仮説ではこれはロバの耳であり、こちらはネコとロバのハイブリッドであるとされています。

実際の大きさよりも遥かに大きく描かれた耳

これは、古代エジプトでのロバの呼び名「アア」と“偉大”という意味を持つ「アア」が同音であったことから、ある種の言葉遊びでロバの耳を持つネコ「偉大なネコ」という表現をされたのではないかと言われています。

バステトでありセクメトでもあったネコ

古代エジプトのネコは優しく慈悲深いネコの女神であるバステト女神として人々から崇拝されていましたが、その一方でライオンの姿の神、セクメト女神と同一視されることもありました。

真逆ともいえる性格をもつ二柱の神

セクメトは、ネコまたはライオン頭をした荒々しい側面を持つ神として知られていましたが、このことはネコがそういった二面性をもっていたことを表すものだという風に言われてます。

さいごに

古代エジプトにおけるネコについての解説でした。ネコはただのペットとして愛されていただけでなく、神聖視され、神々の象徴としても重要な位置を占めていたことが分かりましたね。

古代エジプトのネコについてさらに詳しく知りたい方は、こちらの河江肖剰先生の動画「古代エジプトの猫は凄かった!神様?ペット?大蛇退治!?」をご覧ください。今回学んだ内容を、より深く理解することができるでしょう。

河江 肖剰(かわえ ゆきのり)
エジプト考古学者/名古屋大学高等研究院准教授/米ナショナルジオグラフィック協会のエクスプローラー。19歳でエジプトに渡り、1992年から2008年までカイロ在住。カイロ・アメリカン大学エジプト学科を卒業後、名古屋大学で歴史学の博士号を取得。ピラミッド研究の第一人者であるアメリカ人考古学者マーク・レーナー博士のチームに参画し、ギザの発掘調査に10年以上従事。2016年ナショナルジオグラフィック協会のエマージング・エクスプローラーに選出。ピラミッドの3D計測など、最新技術を用いた斬新なアプローチでエジプト文明の研究調査に取り組んでいる。



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