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脂肪を燃やす!ミトコンドリアの働きと生命の進化~「Dr.ナグモの栄養外来ch」より


はじめに

みなさんはミトコンドリアをご存知でしょうか?
学生の頃、学校で習った緑色のアレですよね。実はこのミトコンドリアが脂肪燃焼に大いに役立つ働きをしていることはご存知でしたか?今日はそんなミトコンドリアについて、いったいどのような過程を経て生まれてきたのか、そしてどのような働きをするのかについて解説したいと思います。

こちらのがん専門医である南雲吉則先生(ナグモクリニック総院長)の動画では、今回の記事の内容についてより詳しく解説されています。こちらの動画も、ぜひご参照ください。

地球の黎明期:火から生命へ

地球が誕生した45億年前、そこはまさに火の惑星でした。しかし時間と共に火は燃えつき、その煙から出た水蒸気が雲となり雨を降らせました。
これが地球上の最初の大雨で、何百年にもわたる雨によりかつての火の惑星は生物が住める温度へと変化していったのです。

そして43億年前になると、この変化した地球上で最初の有機物が誕生しました。まだ生命ではありませんが、タンパク質やアミノ酸といった生命の元となるものが生まれたのです。この事実は当時大学院生だったユリミラーの実験により証明されました。

ユリミラーの実験で有機物が誕生したことが証明された

遺伝子の誕生と複製

生物が誕生したのは約40億年前、遺伝子が最初に出現した時です。まだ細胞としての形はありませんでしたが、海中にあった様々な有機物が繋がり、二本の螺旋状の遺伝子へと変化しました。遺伝子の最初の役割は自己複製、つまり自身を増やすことでした。

遺伝子はどんどん複製され地球上に広まっていった

遺伝子DNAは、はしごの段のような形をしています。その段にある塩基というものが、T(チミン)、C(シトシン)、G(グアニン)、A(アデニン)の順に連なります。これらの塩基は割り箸のように分割され、周囲にある塩基と結合して新たな遺伝子を作り出します。これが細胞分裂における遺伝子の複製機構で、1本の遺伝子が2本に、2本が4本にと、地球上に無数の遺伝子が広まっていったのです。

広まる遺伝子と更なる進化

こうした広まっていったこれらの遺伝子ですが、最初は2本の糸のような形で水中に漂っていました。しかしこのままでは波に揺られて壊れる恐れがあり、また他の遺伝子と絡まってしまう可能性もありました。

そこで遺伝子を守るために何か器が必要となりました。それが原核生物の誕生に繋がります。

原核生物によって遺伝子は保護された

遺伝子を保護するため、原核生物は細胞膜と呼ばれるコレステロールの膜を作り出しました。そしてその中には原始の海水が詰め込まれました。これを我々は細胞質と呼んでいます。

驚くべきことに、細胞質の中に詰め込まれたのは現代よりもしょっぱさが少ない原始時代の海水でした。なぜ現代の海水はしょっぱいのでしょうか。これは地球上に存在する岩塩が雨によって溶け出し、時間をかけて海水の濃度を高めた結果、現代の海水はその当時よりもしょっぱくなっていったからです。ですから私たちの体の中に存在する細胞質は、一種の原始の海の組成とも言えるでしょう。

細胞質は原始の海の組成ともいえる

エネルギー源の獲得:原核生物の進化

原核生物はその生存のためにエネルギー源を必要としました。そしてそれは海中に豊富に存在したブドウ糖でした。原核生物はこのブドウ糖を取り込んで分解し、乳酸とATPと呼ばれるエネルギーを生み出しました。このATPというエネルギーをもとに原核生物は生命を営んでいたのです。

エネルギー供給源となった「ATP」を生みだした

このようにブドウ糖を酸素を使わずに乳酸に変える、 こういう化学反応のことを嫌気性解糖という風に呼びます。

葉緑体とミトコンドリアの誕生

次なる進化のステップは葉緑体の登場です。葉緑体は日光、水、そして二酸化炭素という地球上に豊富に存在した物質を利用し、エネルギーと酸素を生み出すことができました。これにより、地球上にはブドウ糖と酸素が大量に供給されるようになったのです。

葉緑体の登場で地球には酸素が溢れかえるほどになった

その次に登場したのがミトコンドリアです。ミトコンドリアはブドウ糖と酸素のエネルギーを利用して、自身のエネルギーを得ることを考えました。その結果ミトコンドリアは、葉緑体が一生懸命作ったブドウ糖と酸素を逆に燃焼することで、多くのエネルギーを生み出すことに成功したのです。

原核生物の19倍ものATPをミトコンドリアは生みだした

さらにミトコンドリアはそれだけではなく、タンパク質や脂肪も燃焼することができる、“万能のエネルギー工場”としてその存在を確立していきました。

ミトコンドリアを取り込んで誕生した「真核生物」

これらの進化の過程を経て、最終的にミトコンドリアは原核生物に取り込まれ一緒に生活するようになりました。これにより生まれたのが真の核を持ってる細胞、真核生物と呼ばれるものです。

真核生物はタンパク質や脂肪も燃焼できる

このことによって真核生物はエネルギーを効率良く生み出すことができるようになり、特に私たち人間は酸素と一緒に脂肪を燃焼することで、仮に朝昼のご飯を抜いたとしても大丈夫な丈夫な体を手にれることができたのです。

さいごに

地球の誕生から真核生物の誕生と働きまでを簡単にご紹介いたしました。特にミトコンドリアの働きは私たちの健康と長寿に深く関わってくるのですが、そちらはまた次回ご紹介いたします。

この動画では、今回紹介した内容についてより詳細な情報が解説されています。興味を持った方はぜひご覧ください。

南雲 吉則(なぐも よしのり)
ナグモクリニック総院長。乳腺外科の第一人者にしてがん専門医。1990年、医療法人社団ナグモ会ナグモクリニックを開設し、1994年には東京慈恵会医科大学より博士(医学)を取得。60歳以上の生き方が輝いている人として『第1回プラチナエイジ授賞式』プラチナエイジストを受賞。

「女性の大切なバストの美容と健康と機能を守る」をモットーに全国で乳癌手術、乳房再建術を行う。「一日一食」「ゴボウ茶」「水シャワー」などの独自の若返りダイエット健康法を展開し、ベストセラー、テレビ出演など多方面で活躍。がんから命を救う食事と生活の情報発信にも注力している。


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