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考えるのが人間 そうでないと妖怪になる

勤めたての頃、『ここでは、あの女が番長だから。』と言われた方向を観ると、大柄で厚化粧の女性が居た。言っている側も言われている側も同じ介護職の人だった。

番長?!という古い言葉にビックリして、不覚にも爆笑していたら遠くから睨まれた。ヒソヒソ話して来る人に『しっ!』と叱られた。
(どっちの人間性も嫌だよ。)

いちおうこの施設で一番偉い位置の人が『主任や副主任にしてやるから』と釣って連れて来た3人の職員の中の一人だと聞かされていた。看護師にも指図する。というより、物凄く看護師を気にしている。

お隣の職業なので私たちも介護職員の方々は目に入るし、連携しなければならないのである程度は気にする。
が、度を越していた。『今日はナース、何人居るの?え?明日は休みなの?』等、勤務状況や誰がどこで何をしているか?一挙一動まで気にしている。そして、他の介護職員が黙ってあたりまえにやっていることを『自分がやった。私の手柄。私、こんなに気が利く。』といちいち看護師にアピールしに来る。
その他諸々の様子を観ていると、彼女にとって看護職の人間というのは大嫌いなのか単なる脅威なのか分からないが、とにかく最大の関心事のようだ。

『あの人、ボスが連れて来て管理職に据えたものの、やるべきことが出来てないんだよね。』という評判も事実のようだった。確かに困ることが多い。空気も悪い。

『どうして私たち、彼女が居るとこんなに疲れるんだろうね?』と言っている人が多々あり。
その理由が間もなく判明。

仕事だの職業だのではなく『メスとしてキーキー言って牙を剥いて来るんだよね。』と言うある人の一言に『それだ!』と皆さん同意。

職種に関わらず女性と見なすと牙を剥き、男性と仕事をしているとキャーキャー黄色い声を出して上機嫌。で、何か気に入らないことがあると「あの人が!」とボスに言いつけに行く。ボスであり男性。まさに彼女が最大限に本領を発揮する時なのだろう。

それで切られた人たちが何人も居るというのでビックリだ。
怖いと言われる所以はそのガタイの大きさや高圧的な物言いではなく、この嫌われれば実際にクビになるところにあるらしい。

しかし、待て。そんな女性は世の中に山ほど居るじゃないか。それが何故にこうもおどろおどろしい存在に感じるのか?厚化粧だからか?強すぎる香水のせいか?

という話になったのだが、私が思うに、看護職の人々というのが、どちらかというと仕事でモノを言わせて来た人が多いからなのだろうと思った。
要するに男社会に近いのだ。実際に仕事する力を問われる。いや、もしかしたらもっと恐ろしい世界かも。そうでないと人が死んでしまうから。

同じ年ごろの中高年看護師も、そしてそれを追う若い人々もそんな世界で生きて来ているので、雌を使う人を見ると余計にぞわっ!とするのだろう。

と思ったが、震えつつこき使われている男性職員たちも「ぞわっ!としているのは、あんたたちだけじゃないよ!」と言うではないか。おそらくは昨今、原始的な方法とその裏表にうんざりしている男性陣も多いらしい。

ところで私は派遣ナースで、2ヵ月くらいで契約満了して通り過ぎるつもりだったので無敵だった。クビになってもノーリスク。痛くも痒くもない。次を探せば良い。
いや、正社員だったとて同じだろう。そんなアホなしきたりのところには居たくない。

キーキーいちゃもんをつけられても「何の話?」と言い、無視されるならばそのまま何日もこちらも無言で放置。

そんな私にイライラ&キーキー度が増して来て、あること無いこと・・ではなくて無いこと無いことを誹謗中傷もされた。それを信じる人々も居た。
周りの態度が今も余所余所しい。少なくとも彼女の前では。

それでも自分を変える必要が無いので通常通りにしていた。やるべき仕事をするために。
そのうち、どうにもならないと思ったのか、あちらから挨拶をして来るようになったが、シンクロナイズドスイミングのような張り付けたような笑顔で向かって来るので余計に引いた。

しかも、対人関係の対処の仕方のレパートリーが少ない・・・というか2種類しか無いらしいので、男性と接する時と同じ態度を私にとるようになったのだ。いかん。前より悪い。誰か助けて下さい。非常に気色が悪いのだ。

そんな折、働かないボス、勉強しないボス、それどころか職員を苦しめるボスのことをH先輩が成敗した。正確には、ボスより偉い立場のH先輩を信じる面々が成敗したのだけど。

ボスを盾にして番を張って来た(?)その女性は、今、恐慌状態にある。もう、誰にどういう態度を取って良いのか分からなくなったらしく、これまでで一番機嫌が悪くなったり、急にケタケタ笑いだしたりして、ますますおどろおどろしい。

そしてこれまで困っていた人々が急に背筋を伸ばして仕事をするようになった。

結論。虎の威を借る狐は、いざという時自分で考えることが出来ない。
狂気すら自分の責任だと思う今日この頃。

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