夜になるまえに

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おやすみ前に、#BookCoverChallenge 
昨年の春先に、ブックカバーチャレンジというのが流行った。最初の緊急事態宣言で、皆が引きこもりを余儀なくされた頃、本の表紙をアップして短評をということで。
これは「次の人にバトンタッチする」といふものであったが、私どもはそんなメンドクサイことはしない。ただただ自分で単独で。
基本、〝繋がり・絆〝なんてものを求めちゃいないので。今日のキズナは最後方からでしたね。

かくして今は、昨春となんら状況は変わっていない。微かにワクチン輸入されたようだが、コロナ禍は続いておる。なのになぜ、ブックカバーチャレンジが無くなったのか。
だからダメなんだよジャパニーズ。すーぐ忘れて飽きて、遊びにゆく。

渋谷あたりじゃ週末の夜、めっさ人出が多いとか。君がコロナに罹るのは勝手だけれど、そしたら医療が逼迫す。人様に迷惑をかける。
ったく、公共心てものがないのかしらね。
※いっぽう、上からの強制 ー 自民党が言う愛国心や何か ー は、別に気にしなくて良い。緊急事態宣言があろうがなかろうが、要は自分で考えましょう。

てなわけで、#BookCoverChallenge

レイナルド・アレナスはキューバの作家。
ジャングル内・田舎で土を喰らいつ育つ。ガルシア・マルケス『百年の孤独』よろしき田舎かつ大家族で、学校の先生に文学の才ありと認めらるるも家長は反対。
文学に何の意味が? と。しょせん暇人の遊びじゃないかと。現実は厳しいのだぞと。

昔の家庭 ー 今もだが ー 親は概ねそんなことを言うもの。子の行く末を案じる親心でもあるし、貧しい家庭なら兎にも角にも稼がせにゃならん。
しかし文学芸術こそ、実はリアルでの。親はともかく自称保守の〝厳しがり〝〝現実厨〝には分からないだろうが。
※実際、今の野党 ー とりわけ共産党ー の方が現実に則している。ネトウヨは「桜を見るやモリカケなんて。それよかウイグル、ガー」と事あるごとにウイグル棒を振りかざすが、連中は「ウルグアイ、ウルグイ」など大間違え。新疆ウイグル地区がどこにあるのかも知らず、アンチで言い募るのみ。ウイグル問題になぞ関心ないのは明らか。
というのも、奴らは野党が提出した、ウイグル人を含む難民受け入れ法案を無視・あるいは反対している。そしてウイグル問題を、最も重視し反・中国共産党なのは実は日本共産党だったりする。
※ところで太宰治が言っている。「ゼウスの右に並ぶのは、真に君たち作家だ」と。

話が逸れました。
レイナルド・アレナスは長じて首都ハバナに出、図書館で働きつつ書く。デビュー作は『夜明け前のセレスティーノ』だったか『めくるめく世界』だったか。
こと後者はめっちゃ面白い。実在のスペイン修道士を基にした、世界巡行の物語。いわば〝偽史〝。
偽史といえば同じラテンアメリカ文学じゃロベルト・ボラーニョの『アメリカ大陸のナチ文学』が有名も、アレナスのはマジック・レアリスモ(魔術的リアリズム)を駆使した逸品。

彼はゲイである。当時はカストロがキューバ革命を起こした頃で、同性愛であること自体、反革命と見做され迫害さる。
新人文学賞をとり、数多の作家に絶賛されるも投獄され、著作は全て発禁に。

当時のカストロ政権は、政治犯はもちろん犯罪者やゲイ、気に食わない連中を敵国アメリカに送りつけました。いわゆるマリエル事件ですが、これはかのスカーフェイス@デパルマ監督、アル・パチーノにも描かれておる。
◆スカーフェイス 予告編

https://youtu.be/UqG27PjzDDk

アントニオ・モンタナ。実は彼は政治犯でも何でもなく、単なるクソ犯罪者なわけだが。
パチーノ繋がりでいえば、ゴッドファーザーPart2も当時のキューバをいち舞台にしてましたね。

話が前後するがアレナスは、男同士で恋をして、官憲から逃れるために森深き公園で暮らす。
夜。
気球に乗って国外へ、脱出しようとしたり。マリエル事件で船に乗り、フロリダからNYへ。
冬のニューヨークでドアマンしながら生計を立てる。作家としても、キューバ時代に来日(訪キューバいう意味です)してたフランス人に原稿を託し、それがヨーロッパでバズりまくり。

紐育でもパートナーを得、さあこれからという時にエイズに倒れる。享年46。

そんな顛末が、本書と映画に表してあります。
◆ジュリアン・シュナーベル監督『夜になるまえに』(00年)

https://youtu.be/8I1_lUZzoA4

ハビエル・バルデムにジョニー・デップ、ショーン・ペンほか名優が一堂に会したこれは必見ですよ。ジョニーデップのお尻の美しいこと!
俺はたまたまゲイじゃないけれど、原作も映画もすこぶる美しい。

人生は、この世は美しい。いかに迫害・困難があるとはいえ。
それを表してくれたのが、アレナスやシュナーベル監督。

『夜になるまえに』 ー Before Night Falls ー という題名は、公園で暮らしていた頃そして昼→夜→・・・という、生の謂でもある。

本当に夜になるまえに脱出しなければ。しかしそれでもトワイライトタイムは・・・

ぜひご一読、ご覧ください。

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