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ポップの延長線上で感じる皮肉 ー3は魔法の数字 three is a magic number 14 @高崎市美術館

 天井から吊り下がるカラフルなチラシや、様々な色水を入れた魚の醤油差し。入った瞬間からわくわくするような、カラフルでポップな世界が広がります。

3は魔法の数字 three is a magic number 14
@高崎市美術館

 1986年福島県生まれの3人組のユニット・three(スリー|川崎弘紀、佐々木周平、小出喜太郎)による展覧会です。

 七夕飾りのように吊るされたカラフルな展覧会のチラシを1枚ずつちぎってもらっていくことができたり、魚型の醤油差しに好きな色の色水を入れて壁に刺していくことができたり。

 展示室に入った瞬間に圧倒される壁一面の高崎だるまに 念を込めて目と名前を入れて行ったり…参加することで変化していく、楽しい作品が続きます。(ここまでの1,2Fは写真撮影もOKでした。)

 ところが、3Fに行くと空気が一変。たくさんのアニメキャラクターのフィギュアが、解体、変形、再構築され…

 Webサイトやチラシの写真(下記)ではカラフルでかわいい作品に見えたものが、実際に見てみると、解体・溶解させられても顔が残ることで「モノ」として捉えきれず、複雑な気分になります。動きのない作品でも、写真と実物では見えるものが変わってくるものですね。(この3Fは撮影禁止です。いろんな意味で納得…)

 ポップなものの延長線上にある狂気のようなものであったり、溢れるポップなもの・キャッチーなものを急速に消費していってしまうような皮肉にも感じられました。

 前半は体験型ということもあり、”楽しい”に隠れてしまいましたが、3Fの作品を見た後、再度1,2Fの作品を見返すと、そんなポップさの裏にある風刺的な感覚も見えてくるような展示でした。

 なお、この高崎市美術館の中には、建築家・アントニン・レーモンドの建築スタイルを取り入れた旧井上房一郎邸があり、展覧会チケットで併せてみることができ、こちらもおすすめです。

■ 3は魔法の数字 three is a magic number 14 @高崎市美術館
会期:2019年7月13日~9月1日
時間:10:00~18:00(金〜20:00)
休館日:月(祝日の場合は翌平日)
観覧料:一般 500円 / 大学・高校生 300円

 川崎弘紀、佐々木周平、小出喜太郎の3名からなるアートユニット「three(スリー)」。 本展では、threeの代名詞ともいえる魚型しょうゆ差しを用いたインスタレーションやフィギュア作品、また来館者とともに完成させる作品や高崎オリジナルの作品など新作も展示。

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