見出し画像

目で”触感”を楽しむ ー石内 都 肌理と写真 @横浜美術館

 横浜美術館で開催中の「石内都 肌理と写真」展。2回行ってきました。

(エントランスでは、色鮮やかな巨大な写真が迎えてくれます!)

 石内都さんは、1947年群馬県桐生市生まれ。
 1979年に「Apartment」で女性写真家として初めて第4回木村伊兵衛写真賞を受賞された写真家さん。

 神奈川県横須賀市で育ったとのことで、神奈川と縁のある方なんですね。

 デビュー作から最新作まで振り返るかたちで、かなり見応えがありました。

 モノクロとカラーの写真でそれぞれに全く違った魅力があるけど、どちらも被写体のテクスチャ、切り取り方、光の使い方が魅力的な作品でした。

 前半のモノクロ写真は、モノクロになることで、季節感や時間や、時代感も消えてしまって、さらに、粗い粒子と被写界深度にも強調されて、意識がどんどん被写体のテクスチャにむかっていってしまう感じでした。

 コンクリートやタイルのような無機物も、肌のシワや毛穴も、美しくないけど魅力的に見える作品です。

(※こちらのモノクロ作品は、コレクション展の「絶唱、横須賀ストーリー」から)

 一方で、カラー写真は、それが「モノ」であると思えないような、絵画みたいに鮮やかな色合いで、その「モノ」自体へのイメージとは変えてくれるみたいで面白かったです。

 「肌理(きめ)と写真」というタイトルは、石内さんが名付けられたそうなのですが、実際に展示を見ると、”視覚”を使っているのに、気分的には様々な”触覚”を連想してしまうような作品の数々に、その”肌理(きめ)”という言葉がなんてしっくりくるタイトルなんだろう…!と驚きました。


 カラー写真の展示のなかでも、石内さんの故郷の桐生と横浜を繋ぐ、「絹」の写真の部屋が圧巻です。壁面が一面、銀で塗られているのが、カラフルな色を引き立てているように感じましたが、こちらも石内さんの案なのだとか。

 ちなみに、同時開催のコレクション展の写真展示室も「絶唱、横須賀ストーリー」の展示で、石内都さん一色で見応えがありました。

 3/4までと、残り会期わずかですが、3/3は開館延長 & トークイベントも。どうぞお見逃しなく!

 PS.  企画展のチケットで入れる、コレクション展「全部みせます!シュールな作品 シュルレアリスムの美術と写真」も、横浜美術館のシュルレアリスムコレクションの質と量に感嘆…、見応えありまくりです!

**************

■石内 都 肌理(きめ)と写真 @横浜美術館

会期:2017年12月9日(土)~2018年3月4日(日)
時間10時~18時(入館は17時30分まで)
*2018年3月1日(木)は16時まで
*2018年3月3日(土)は20時30分まで
休館日:木曜日 *ただし、2018年3月1日を除く、年末年始(2017年12月28日[木]~ 2018年1月4日[木])

本展は、1980年代に石内が横浜を撮影したシリーズをはじめ、横浜と桐生を結ぶ絹織物・銘仙(めいせん)に取材した〈絹の夢〉や、現在でも毎年撮影が続けられている〈ひろしま〉など、新作や未発表作を含めて構成されます。

最後まで読んでいただきありがとうございます。良かったらサポートいただけたら嬉しいです。サポートいただいたお金は 記事を書くための書籍代や工作の材料費に使わせていただきます。