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比率差動継電器(87)について
今回は発電機や変圧器の保護に使用される比率差動電流継電器(87)について述べていきます。
制御器具番号87は正確には差動継電器を表すのですが、中でも差動電流継電器が一般的に使用されます。
差動電流継電器は動作原理とリレー構成が非常にシンプルであるため、発電機や変圧器の保護として常用されています。
変圧器を例に考えてみましょう。
変圧器の一次側と二次側の電流をそれぞれI1、I2とし、通常一次側と二次側の電流は変圧比をN1:N2として考えると、
N1×I1=N2×I2
となります。
差動電流継電器はI1とI2の差を監視しており、通常の状態では
N1×I1-N2×I2=0
となり、巻線比をかけた一次側電流と二次側電流には差がないため何も起こりません。
変圧器内部で巻線間短絡などが発生すると、巻線比が変わってしまうため一次側電流と二次側電流の差が0ではなくなります。
これを差動電流継電器は検知し、故障であると判断するのです。
ただ過大な電流が流れる場合、一次側と二次側電流の差が大きくなってしまうケースがあります。
例えば強引な例ですが、巻線比を仮に1:1とした変圧器で、一次側に1A電流が流れ、二次側に0.99A流れたとします。
同様の変圧器を用いて一次側に100A流れた場合だと、二次側には99Aの電流が流れることが考えられ、電流差が0.01Aから1Aになってしまうんですね。
これはよくないということで、比率差動継電器は一次側と二次側の比を監視しています。
先の例を使うと一次側に1A電流が流れ、二次側に0.99A流れた場合は0.99/1×100で99%。
一次側に100A、二次側には99Aの際も99/100×100で99%が流れるということになり、小さい電流、大きな電流が流れても同様に対応できるということですね。
ちなみに電気設備技術基準の第43条において、5000kVA以上の特別高圧変圧器には、内部故障保護のための保護装置の設置が義務付けられていますが、もっぱらこの比率差動継電器が用いられます。
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