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眠っていたショーケース


突然ではありますが、来週5月24日に『パティスリープレジレイル』としてお店をオープンいたします。


1年前から活動拠点として使用していたラボを、友人、知人、家族に手伝ってもらいながら、自分で改装しています。

この決断に至るまで、様々な葛藤がありました。

応援してくださる方々へ想いをお伝えすると同時に、今現在の私が思っていることを未来の自分にしっかりと伝えるため、ここに書き残してみようと思います。


お店を始めようと思い立ったのは、ほんの3週間ほど前です。

昨年末に、それまで1年かけて話し合いを重ねてきた大きな立ち上げのお話がなくなりかなり落ち込んでいたところ、フランスへ働きに行かないかというお誘いをいただきました。

20代前半での再渡仏を望んでいたため、そのお店を紹介していただき、今年の9月から一年間働かせていただくというお話が進行中でした。

コロナが世界中に広まり始めたのは、渡仏に向けて気持ちを切り替えた直後のことです。

イベント関連のお仕事、ケータリングやウエディング、3月末から6月までの予定がほとんど全てキャンセルとなり、せっかくできた楽しみの渡仏も無くなる可能性が高くなりました。

それからはしばらく、前向きに考えることができずにただただぼーっと過ごしていました。

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あまり覚えていないけど、1カ月前は今と正反対の決断をしようとしていたと思います。

ラボの解約をするため、大家さんに電話しなきゃなーと思いながらも、残り10パーセントの自分を説得できなかったのかなんなのか。3日、4日、1週間と何も出来ないまま時だけが過ぎていきました。


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こっそりと準備中とか言ってるけど、、突然気持ちが切り替わって突然行動し始めたのは、この前日か前々日ぐらいかもしれません。

本当に、自分自身でも驚いてしまうほどに突然、お店を開かなきゃ!!!と思いました。

そこからは毎日、朝から晩までわくわくドキドキ、期待と不安でいっぱいです。


私は、パティシエールを目指し始めた中学生の頃から、30歳までに独立することを目標に生きてきました。

高校を中退し、17歳でパティスリーに入社してから、2番手としてパティスリーカフェの立ち上げ、フランスでの住み込みでのお仕事、様々な経験をさせていただき、多くのことを学んできました。昨年からはフリーランスとしての活動を開始し、全国の農家さんをお訪ねしたり、海外でのお仕事もさせていただきました。

そんな中で、パティシエとしての技術、人間としての知識や経験、全てにおいてまだまだ未熟だなと実感させられることが多々あります。


そのため、今このタイミングでお店を開いてしまうことは、正直本望ではありません。

20代前半のうちにもう一度フランスへ行って、他の国や地域でも現地の文化やお菓子作りを見て、もっともっと多くの方々と関わり、まだ知らないなにかを見て、学んで、感じて、より良いお菓子作りができるように、インプットの機会を増やしていくつもりでした。

そして将来、私のお店に関わってくださる全ての方や、パティシエを目指す若い子達へアウトプットしながら、お菓子で表現していきたいと思っていました。


私の夢は、有名になることでも、地位や名誉を得ることでも、お金持ちになることでもありません。そんなものには、全くもって興味がありません。

ただただ、地元の小さなお店で、お子様にも安心して召し上がっていただくことのできるような優しいお菓子作りがしたいです。

嫌なことがあったとき、お店に寄ったらほんの少しでも笑顔になっていただけるような、嬉しいことがあったとき、つい寄りたくなってしまうような、そんなお店作りがしたいです。


そのためには、フランス修行も、コンクールへの挑戦も、もしかしたら必要がないのかもしれません。

だけど、せっかく人生かけてやっていることなら、自分で納得のいくまで挑戦したいです。


今、22歳という年で、きっとまだまだこれから世界が広がっていくはずなのに、一番の夢である小さなお店を開くことができてしまうということが、少しだけ怖いです。

お店をうまく経営していくことができるか、お客様がどのくらい来てくださって、自分の気持ちがどう変化していくのか今は全然わからないけど、もし夢が形になった時、現状に満足してしまうようになることが一番怖いです。



オープン期間は、後輩達がアルバイトに来てくれます。しかしその後は、基本的には一人でお店を営んでいきます。

一人となると、お店を営業するだけでも 仕込み日と販売日を別にしなければなりませんが、昨年のように農家さんをお訪ねしたり、他業種の方々と外部のお仕事をさせていただいたりもしていくつもりです。

それらの理由から、営業スタイルは不定休、売り切れ次第閉店とさせていただきます。

もし、特別な日のケーキをご注文いただこうと思ってくださる方がいても、お断りしなければならない可能性が高くなってしまうし、ふらっと寄ろうと思っていただけても、お店が開いていない日が多くなってしまいます。

私自身が理想とするお店の存在の仕方ではありません。

世の中が落ち着いたら、2年、3年後にでもまた海外へお仕事をしに行きたいとも思っております。


そんなんならやらない方が良いだろうって、一商売人としておかしいだろうって思われる方もいると思います。

しかし、私は、今の自分にできる最善の方法が、この形だという結論に至りました。


また、こんなご時世のため、オープン告知をするべきかものすごく悩みましたが、事後報告ではなく、前もって思いを綴らせていただくことに決めました。


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お店にお越しくださるお客様が、少しでも笑顔になっていただけるようなお店作りに努めて参ります。


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Patisserie Plaisiraile(パティスリープレジレイル)

東京都豊島区千早1-3-7 1階

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