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古書店のオヤジが教える 絶対面白い世界の名著70冊

"『古典』を読むということは、今日自分が生きている社会を成立させている背景について、ただ何となくではなしに、はっきりと『知る』ということである。"2016年発刊の本書は、古今東西の古典をわかりやすく紹介すると共に、現在における意義や影響まで指摘していて勉強になります。

個人的にも監修の阿刀田高が本書をすすめるにあたっての"『ダイジェストで読んだ気になるのは良くないぞ。原典を読め』と、これは正論である。しかし、読むべき古典は多い。多過ぎる。"に深く共感した事から本書を手にとりました。

さて、本書ではタイトル通りに古本屋『古書 比良木』店主が西洋編として約60冊、東洋編として約10冊の計70冊にわけて、聖書から論語、現代哲学までを幅広く、わかりやすく要約してくれているのですが。【ゴリオ爺さん→ピケティ】などの後世の作家への影響や、現在の政治家演説での頻繁な引用にも触れてくれている事から、既読な本にはマメ知識的な楽しさと、未読な本には"さっそく読まねば"という気にさせてくれました。

また、例えばアダム・スミスの『国富論』についての解説で(見えざる手とは書いてるが)【『神の』見えざる手という表現は後世の創作である】とか、ダーウィンの『種の起源』では【『人類がサルから進化した』とダーウィンは述べていない】と批判した周りの人たちのせいで【勝手に信じられてしまった】事などについても触れていて。

『誰もが名前を知ってる古典は、多くの場合、実はちゃんと読まれていない』ことを時代を超えて、あらためて逆説的に実感させられました。(=なので"ちゃんと"読まなければ)

教養としての良質な古典の紹介本を探す誰かに、また古典の多くを既にあらかた読み終わっている方の確認としてもオススメ。

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