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アーティスト症候群 アートと職人、クリエイターと芸能人

"何がアートなのかよくわからないままにアーティストが名乗られるこの時代、『アーティストになりたい』欲望とは(中略)人に『アーティストと呼ばれたい』という『被承認欲』なのである。"2008年発刊の本書は誰もがアーティストを名乗る時代に違和感を感じた著者による【読みやすくも刺激的】な一冊。

個人的には、外側からアーティスト支援に関わっていた時期に兎角困ったのが『アーティスト』(もしくはアート)という言葉の持つ曖昧さだったのですが。そんな私に指針となった本の中の一冊がこちらです。(他にはハンス・アビング『金と芸術 なぜアーティストは貧乏なのか』)

さて、そんな本書は【20年間アーティスト活動をしていた】著者が実体験にもとづいて、80年代から欧米への憧れから【誰もが美術家からアーティストと名乗り始めた】と指摘した上で、芸能人アーティストやアートテレビ番組、職人とクリエイターの違いなどについて素直というか、割とはっきり述べているので、ナイーブかつピュアに【アーティストに憧れる人】にはやや残酷かもしれないと思ったり。

しかしながら、そこに悪意があるのか?と言われれば、根底にあるのは【先輩"元"アーティストとしての後進への真摯なアドバイス】ではないか。と私は感じていて。2020年現在も相変わらず?いや、より多くの【自称アーティスト】がSNS上に溢れかえる現在、多少なりと危ういアーティスト志望の若者たちと出会う度に本書のことを脳裏に浮かべてしまいます。

溢れかえるアーティストという言葉に違和感を覚えている誰か、アーティストを目指している誰かにもオススメ。

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