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京都府警あやかし課の事件簿

"『君は、魔除けの子になったんやで』京都には、神様や仏様、化け物といった不思議な存在がたくさんいる。そして本当に、すぐ傍に在る。"2019年発刊の本書は京都市生まれ、京都市育ちの著者による古都を舞台にした現代ファンタジーにして、第7回京都本大賞受賞作。

個人的には、移住した京都に関する本をあれこれ手にする中、良い意味で軽めの読書を求めて本書を手にとりました。

さて、そんな本書は京都府警が擁する"化け物から神仏まで"あやかしが絡むあらゆる事件を人知れず解決する『あやかし課』の面々の活躍を新人女性隊員の古賀大(まさる)を主人公に描いているわけですが。

まず、京都に移住して、お寺や旧跡が【当たり前に日常生活に存在している】中での神仏や伝承との近さ、本書で言うところの"すぐ傍に在る"感覚は(厳密さはさておき)日々実感している所だったので。敵対したり距離に隔たりがあるわけでなく【二つ共存の世界】"あやかし"として神様や天狗、鬼などが人間と同じ様にブログを書いたり、酔っ払ったりして身近に存在している世界観は【京都ならあり得る。わかる】と、とても魅力的に感じました。

また、著者のインタビュー記事で拝見した所によるとテレビ番組の「人に優しい都道府県」で愛する京都が"いけず"と下位にランキングされたことにショックを受けて"これはあかん! ほんまは、京都人はいけずと違う! 京都の魅力を伝えたい!"というのも執筆動機になっているみたいなのですが。良くも悪くもキャラ設定に関しては如何にも【典型的に漫画的、アニメ的】ではあるものの、かわされる【京都弁の会話のリアルさ、距離感】は、うまく京都人同士の関係を再現出来ているように思いました。

人気作として既にシリーズ化されているみたいですし、アニメ化も近くされそうな本書ですが。【歴史や伝承をちゃんと下敷きにしている】作品なので、多くの若い人たちに手にとってほしいなと思います。もちろん京都市内に住んでいる人や京都好きな方にもオススメです。

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