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ソロモンの指輪

"けれど私は、自分のよく知っている動物となら、魔法の指輪などなくても話ができる。この点では、私の方がソロモンより一枚上手である。ソロモンは指輪なしでは彼に最も親しい動物の言葉すら理解できなかったのだから"1949年発刊の本書は"刷り込み"理論や軽視されていた動物行動学を確立した事でも知られるノーベル賞受賞の著者によるユーモアとシンパシー溢れる一冊。

個人的には、慌ただしく病んだ現代。あえて人間ではなく動物に寄り添った眼差しを共感したい。と、私的イメージ的には"オーストリアのムツゴロウ"みたいに捉えている著者の本を手にとってみました。

さて、そんな本書は虚偽にみちた動物話、動物の事を語りながら【全く動物について何一つ知らない】著者たちへの怒りを冒頭でぶちまけた後に、自身の放し飼いにした動物たち、鳥や魚たちの生態が割と自由に、かつ読みやすく語られているのですが。【擬人化し過ぎでは?】と邪推する大人心とは別に、童心に戻って、かっての【輝かしく見ていた世界】を思い出させてくれる読後感でした。

また、著者がイメージ的には王者的なライオンやワシを怠惰!とこき下ろす一方、小さくて弱くも【自由を求める動物たち】に対して深い愛情を抱いているのにも共感を覚えました。ただ、猫派の私的には犬とオオカミとの違い話も【それはそれで】興味深くも、猫にも少しは触れてくれー!と心の中で叫んでしまったり。

動物好きな全ての人へ、またペットとの向き合い方をちょっと立ち止まって考えたい方にもオススメ。

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