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ニ魂一体の友

"僕の第一印象は甚だ悪かった。『青き魚を釣る人』などで想像した僕のイメージの室生君は非常に繊細な神経をもった青白い魚のような美少年の姿であった"2021年発刊の本書は朔太郎と犀星。終生の親交があった二人がそれぞれに互いを語る四半世紀に及ぶ往復エッセイ。

個人的には参加した読書会ですすめられて手にとりました。

さて、そんな本書は"月に吠える"など『日本近代詩の父』とも称される萩原朔太郎、"愛の詩集"などの抒情詩で大正期の詩壇を牽引し、小説家としても活躍した室生犀星。北原白秋主宰の詩誌への寄稿で知り合った二人の交流を描いたエッセイから互いの詩集に寄せた序文が約330ページ収録されており。巻末には萩原朔太郎の長女にして小説家としても活躍する萩原葉子と同じく室生犀星の長女にして随筆家の室生朝子の対談が約30ページ収録されているわけですが。

私自身は特に二人の作品に詳しくなくも、特に萩原朔太郎のエキセントリックというか激しい言葉をうけ、それをいなすような室生犀星の返し的なやりとりに時間を超えて【二人にしかわからない仲の良さ、熱き友情】が伺われてニヤニヤさせられたり『終生の親友』って良いものだな。と羨ましく思ったり。

また二人それぞれの目線で度々登場する芥川龍之介の人あたりの良さ、ちょっとした天然さ、また人付き合いの悪そうな高村光太郎など。明治から大正にかけての【文壇や文化人たちの様子が伝わってくる】のも新鮮でした。

二人のファンの方や詩を愛する方はもちろん。『友情』について考えたい方にもオススメ。

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