2010s
"最初に君の気持ちを揺さぶったのは、彼の『興味深いことはすべてメインストリームで起こっている、それをきちんと伝えたい』『蛸壺化した世界でテイスト競争をしているチマチマした連中の価値観に揺さぶりをかけたい』という言葉だった"2020年発刊の本書は、編集者二人が対談形式で"世界を変えた黄金の10年"2010年代を総括したポップカルチャー論。
個人的には、現在をスポティファイやネットフリックスといった音楽、映像のストリーミング・サービスの定着により【海外コンテンツに時間差なしで自由に接する事ができる】素晴らしい時代を迎えていると認識している一方で、国内な音楽、映画文化事情は【かえってガラパゴス化していっているのでは?】と違和感と危機感を漠然と覚えている事から本書を手にとりました。
さて、そんな本書は音楽雑誌『snoozer』編集長で知られるタナソウこと田中宗一郎、そして映画・音楽ジャーナリストの宇野維正の二人が、音楽も映画もテレビシリーズも【別々ではなく、それぞれにハイコンテクスト化してきた】世界の2010年代を、最早『点』としてだけで【文脈や面的な紹介がされなくなった日本国内の文化受容】に警鐘を鳴らしながら紹介してくれているわけですが。
特に、音楽チャートがジャニーズとAKBグループにエグザイルが賑わすようになってから、音楽への興味をすっかり失った私にとっては、北米を中心とした産業構造の変化も含めたロックからラップへ、アトランタへ!といった潮流については全く白紙だったので、そうだったのか!と視界が開けるような楽しさでした。
また、私的には昨年シリーズが遂に終了した『ゲーム・オブ・スローンズ』や『アベンジャーズ エンドゲーム』といった大好きなドラマや映画シリーズについて。映画産業の変化を交えながら解説を加えてくれているのにも"なるほど!どっちも環境問題だったのか!"と納得で、こちらも勉強になりました。
急激にガラパゴス化、ナツメロ化していく国内の音楽、映画のポップカルチャーに違和感や危機感を覚えている誰かにオススメ。
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