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圏外編集者

"本心を言えば好きだから作るんじゃない。作らざるをえないから、作らされているだけ。ほかにやるひとがいないから、というだけ"2016年発刊の本書は無名の人や場所を独自に取り上げ続ける著名編集者が"業界"に警鐘を鳴らしつつ、編集の魅力を語っている良書。

個人的には著者の本は未読でしたが、友人の編集者にすすめられて手にとりました。

さて、そんな本書は40年近く編集者として生きてきて、今も『フリーの編集者』として取材を続行中の著者が、自らのこれまで。現代美術や建築、デザインの記事執筆や、狭いながらも【独創的に暮らす東京の若者たちの部屋】を撮影、刊行した『TOKYO STYLE』といった【既存メディアが行ってこなかった編集仕事】に触れつつ、出版という"メディア"ではなく【出版業界が終わってる】と厳しく警鐘を鳴らしているわけですが。


私自身も既存メディア、出版業界が無視したり、軽視しがちなフリーペーパー(ZINEも含む)を応援するためのお店や活動を『誰もしないなら自分が!』と"圏外から"し続けていることもあり、著者の【自分の軸をもって、現場を重視する】スタイルには共感しかなかった。

また、別に業界を非難したいわけではなくも、巷で行われている『編集講座』や、そこの関係者の記事に【イイね!が沢山つくであろう『キレイ事』はあっても『リアルさ』は感じない】それより、むしろテクニカルに画一化されているような【息苦しさや気持ち悪さ】を覚える私にとって、著者の危機意識もよくわかる気がしました。

現在、出版業界に関わっている方はもちろん、これから目指そうとしている方。また、仕事でなくても何らかの情報発信メディアを運営している方にもオススメ。

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