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安楽死・尊厳死を語る前に知っておきたいこと


"『よく死なせる』ことを考える前に『最後までその生を支える』ことがどこまで追求できているのかをもう一度振り返り、検討してみる必要があるのではないか"2019年発刊の本書は死の安易な法制化の前に議論すべきことを明らかにした良書。

個人的には年齢的にも安楽死や尊厳死に関心をもっていることから本書を手にとりました。

さて、そんな本書は宗教学・生命倫理・死生学の研究者である著者が、社会的に影響力のある人々が【あからさまな優生思想に基づく言葉を公にする中で】安楽死や尊厳死について議論されることに疑問をもった著者が、その前提となる用語や分類を説明、また現実と異なる嘘やフィクションが流通している現状を指摘した上で"まず問わなければならないのは『私たちは、[死にたい]と言っている人が【死にたくなくなる(生きてみたくなる)]ような手立てを十分に尽くしているのか?】ということ、そして【それぞれの個人が自分の生き方(このように生きたい)を追求することを尊重できる社会を作ってきたのか?】ということだ"と強調しているのですが。

まず、すっかり高齢化社会となり(その是非はともかく)私自身、もっとオープンに議論されるべきと考える『安楽死・尊厳死』について。しかし、著者が指摘するように、その用語や分類、混乱している現状については全く知らなかったので、とても勉強になりました。

また、著者自身は尊厳死自体に関しては反対ではなくケースバイケース。ただし、その安易な法制化に関しては『患者の自由な選択を広げる』というよりは【特定の選択へと誘導する面が強くなる】と反対しているらしいですが。本書を読むと、確かに。。と思わされてしまいます。

安楽死・尊厳死についてはもちろん、人間らしい生き方について。考えている方にもオススメ。

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