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祝祭と予感

"私の中では、もう彼らについて書くべき話はスピンオフの『祝祭と予感』で終わっている。それでも、彼らの音楽活動は今もどこかで続いていて、きっと素敵な音楽を生み出し続けているんだろうな、という気がするのである"2019年発刊、本書は人気作から生まれた全6篇の短編集。

個人的には映画化もされたベストセラー作『蜜蜂と遠雷』がとても面白かったので本書も手にとりました。

さて、そんな本書は前作をキッカケに出された音楽アルバムの付録として書かれた『祝祭と掃苔』と『伝説と予感』に挟まれるように映画化に合わせて書かれた四篇を合わせた計六篇の短編集となっていて、亜夜にマサル、塵といった主役たちの前作前後の姿はもちろん、登場人物たちの若かりし時も描かれているのですが。

あくまで前提として『前作のファン向け』の内容なので、本書から手にとった人(流石にいないか)にはちんぷんかんぷんだと思いますが、余韻の残る前作のラストだけでは満足できなかった人には【がっちりとした『続編』ではなくも】どれも作品世界を広げてくれていて楽しめました。

また、文庫版の本書にはこちらも前作をキッカケに著者に依頼があった2017年から2019年にかけての音楽エッセイ集『響きと灯り』(フォークナーか!w)も収録されているのですが。前作であれだけ魅力的にピアノコンクールを描けたのも納得な【音楽裏話的な内容になっていて】オマケとして充分に楽しめるものでした。

前作のファンはもちろん、音楽好きな方にもオススメ。

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