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宇宙のランデブー

"潜在意識からのメッセージが、いまだに頭のなかで谺を繰り返していた。ラーマ人はなにごとも、三つひと組にしないと気がすまない"1973年発表にしてヒューゴー賞他、当時のSF賞を総なめにしたファーストコンタクトもの傑作の本書は「アクアオウムは宇宙船か?」といった話題や民間宇宙旅行などSFや宇宙話が盛り上がっている近年、あらためて再読しておきたい。

個人的には、何かと人と人、国と国の世知辛い話題がやれやれと目につく昨今、『そうだ 宇宙人、よぼう』といった【長期異星人召喚プロジェクト】も主宰している事から"宇宙、それは人類に残された最後 のフロンティア"(byスタートレック)と思いを星空に馳せて、あらためて本書を手にとりました。

さて。本書は西暦2130年を舞台に、太陽系に近づく【全長50キロメートル、直径20キロメートルの円筒の謎の建造物】の発見を機に派遣される人類探査船の活動、そしてその作業を見守る本部委員のやりとりで物語が展開していくハードSFなのですが。やはり印象的なのは異星人文明との接触を描く『ファーストコンタクトもの』に一応位置づけられるものの【最初から最後まで。結局異星人の意図は全く明らかにされず】人類は無視され続け。一方的に推測し続けたままに突然に終わりを迎える【すれ違いの余韻】でしょうか。

近年ヒットした『友だち幻想』(菅野仁著)ではありませんが、"だれとでも仲良く、わかりあえる"といった理想としてはともかく。現実的には、それすら一面には『暴力的な価値観の押し付けになる可能性を含む』人類にとっての【ご都合主義的な展開】を壮大なスケールでさらっと嘲笑うような本書は、やはり素晴らしいなと実感しました。

一方で、なんといっても、そして多くの人が本書に再注目させられたと思われるのは、前述の2017年秋に【全長400メートル、直径160メートル】とサイズこそ大幅スケールダウンしているものの本書と同様に『実際に接近してきた』人類にとって初の【別の恒星系から放たれ、太陽系で初めて観測された恒星間天体】『アクアオウム(ハワイ語で斥候、遠くからの来訪者を指す)』の存在でしょうか。

【おそらくは自然の天体】と結論ずけられるも、太陽系から離脱する際に『特異な加速』を見せたことから、ハーバード大学の研究チームが【ソーラーセイル天体の可能性がある】と発表したことで、つまり"異星人が造った可能性もある"と【都合よく】胸熱になっているのは私以外にもいるはずだ。いるに違いない!いてほしい。

傑作ハードSFを探す誰か、あるいは『ファーストコンタクトもの』が好きな誰かへ。必読。

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