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マンガでわかる遺跡発掘ワーク・マニュアル

"わたしたちの仕事は当時の人が捨てたり忘れたりしたものを掘りだすこと 自虐的に『ゴミ漁り』なんていう人もいたけれど 千年前の状況がここにパッキングされてるってすごくないですか?"2021年発刊の本書は、遺跡発掘調査に10年従事する著者による一見地味、実は奥深いお仕事紹介漫画。

個人的には、子供の時はそれこそ本や映画で遺跡発掘に冒険心をくすぐられたら。と思いつつ、本書を手にとってみました。

さて、そんな本書はハローワークに出ていた求人で遺跡発掘調査事務所に雇われることになった著者が、発掘から報告書作成のための整理事業まで多岐にわたる業務体験を、いち作業員としての等身大目線で、発掘というお仕事とは?に始まり、合間に豆知識的なコラムを挟みながら、実際に近世、中世、奈良〜平安、弥生〜古墳時代、縄文時代と【章ごとに実際に掘り起こしていく様子】を漫画で描いているのですが。

やはり仕事自体が珍しいこともあり、現場の様子は全て興味深く、また『1998年に近世以降の遺跡調査はおおむね中世までが対象となった』『土偶はいわゆることにスター選手』『将来に遺すなら(デジタルより)アナログ技法がいい場合もある』『ある意味掘ることは破壊、遺跡の一番いい保存方法は【掘らないこと】』といった、作業の合間に同僚たちと交わされる会話は【豆知識以上に深く考えさせられる】ものがありました。

一方で、やはり教科書で学ぶ歴史は【一部の権力者や勝者を中心とした動き】ばかりですが。著者が縄文時代の遺跡から障がいをもった人骨やケガをしたあとも生きながらえた人骨が出土【=太古の昔から人々が弱者をいたわって共生していた】と思いを馳せる姿には、私たちは知らないだけで、過去の【生活者から学ぶことが未だ沢山ある】のではないか。と思いました。

遺跡発掘や考古学、日本史に興味ある方や、珍しいお仕事紹介本としてもオススメ。

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