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恋愛 L'amour

"愛には、接吻と、抱擁と、問題と、そして問題のどこまでも不確かな出口とがある"シュルツレアリストの提唱者と知られるブルトン、詩人エリュアールの共著として1930年発刊された『処女懐胎』の全四章十八篇から『恋愛』の一篇を抽出した本書は宇野亜喜良の美しい挿絵も添えられた極上の芸術的エロティシズムと不思議な言語感覚に包まれる豪華な一冊。

個人的には活動として様々な方に本を紹介している中で、テーマを地上の愛『エロス』とされたなら必ず紹介したいのが本書だったりします。

その理由は男性、女性、そしてセクシャルマイノリティーな方々も含め、どうしても『エロス』というと【それぞれの視点や立場】が良くも悪くも直接的、如実に感じられるのと比較して"心の純粋な自動現象(オートマティスム)"シュールレアリスム、そして自動記述で書かれた本書に記された言葉たちは、それらを超越した【純粋かつ不思議な】物質性を帯びた言葉が並んでいるからだったりします。

また、日本版ならではの贅沢さとしては、やはり挿絵を手掛けている寺山修司の「天井桟敷」のポスターの制作で舞台制作の世界では有名な宇野亜喜良とのコラボレーションが本書に美しい味わいを与えていて。美術・芸術好きはもちろん、部屋のインテリアとしても飾っておきたい存在感や魅力があったりもします。

芸術的エロティシズムを求める人へ、また不思議な言語感覚に包まれたい方へオススメ。

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