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京都の流儀 もてなし篇

"日本の美、和の象徴ともてはやされはするものの、この街ではこれが日常であり何も変わらない。受け継ぐことの大切さ、て習いから始まり街全体で育て上げる風習、そして皆が守ってくれる温かさ"2014年発刊、本書は京都生まれ絵師によるANA機内誌「翼の王国」連載コラムを書籍化した一冊。

個人的には京都在住ながら、いわゆる『花街』については全く知らないことから本書を手にとりました。

さて、そんな本書は京都生まれ、毎夜、花街に浸り、各界著名人とも親交のある著者が2014年まで連載していた同名の人気コラムに加筆・修正を加えたもので。『一言さんお断り』は威張るためや意地悪ではなく【客との信頼関係を重んじ、代々の付き合いができるように】と、自分たちの商いを長く続けるために出来上がった商習慣。であることを、『一見さん』から始まり『挨拶』まで。約40のテーマで【もてなしに対する事細やかな気遣いや振る舞い】モノやコト、それにまつわる所作までがぎっしりかつコンパクトにまとめられているのですが。

効率化や感染症対策といった目先の理由で、多くの店舗で無人化や省力化が進む今だからこそ、何百年も続いている花街の文化は【対照的、あるいは現在に対するカウンターカルチャー】として新鮮な印象をいだき、大切にすべきだな。とあらためて思いました。

また、本書に収録されている写真。花街の行事の様子、舞妓さんや芸妓さんの写真もどれも素晴らしく。華やかなイメージとは別に、関係者たちの生活が垣間見えて(実際には縁遠くも)親近感を覚えました。

花街、おもてなしに興味ある方はもちろん。効率化・省力化ばかりが進む今にモヤモヤしている方にもオススメ。

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