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[映]アムリタ 新装版

"『映画は素晴らしいものです。映像を通して、人の人生に語りかけることができる』(中略)『私たちの作る映画は』彼女は僕に向き直り、もう一度薄く微笑んだ。『とても素敵なものになりますよ』"2009年の著者デビュー作新装版の本書は自主制作映画づくりから急展開、変転していく物語。

個人的には短編シリーズ『野崎まど劇場』『know』といった作品が面白かったので、周囲の評価も高い本書も手にとってみました。

さて、そんな本書は"映画のような恋をしよう。そうしよう。"などと呟く芸大役者コース所属の二見遭一(ふたみあいいち)が天才とも評される年下の映画監督、最原最早(さいはらもはや)の制作する『月の海』に参加、いかにも【大学生らしい青春】映画サークル話がテンポよく進んでいくのですが。映画完成と同時に最原最早が失踪するあたりから物語は急展開【ミステリーじみた展開を二転三転】としていって。。(以下ネタバレせず)

まず、自身も自主制作映画を撮ったりすることから『映画サークルの話』という内容から既にわくわくしてて。ツッコミ系男子の二見と映画サークルの面々と出会って居酒屋トークを挟みながら映画制作を進めていく冒頭からの流れを楽しんでいたのですが。良くも悪くも【その辺りは丁寧な伏線にしか過ぎなかった】のが後半で明かされて驚きました。

また本書におけるテーマとして『天才とは?』というのがあると思うのですが。私自身は天才に対して、パラメータ特化型、何かに【アンバランスに圧倒的に突出している】イメージがあったので、行動原理はともかく。本書の最原最早は割とバランス良く、また合理的な印象があって、ちょっと違和感を覚えました。

と、色々と書きましたが。一言で言えば【とても面白かった】です。シリーズ、そして続編もあるみたいなので、引き続き手にしてみようかと。

ジャンルにとらわれない、急展開作品が好きな方にオススメ。

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