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星の王子さま

"『夜、星を見てほしい。(中略)ぼくの星はたくさんの星の中に混じっている。だから、きみはどの星のことも好きになる…ぜんぶの星がきみの友達になる。ぼくはきみに贈り物をあげたい…』"1943年発刊、300以上の国と地域の言語に翻訳され、世界中で2億を超える発行部数のロングセラーとなっている本書は、子供から大人まで何度も読み解ける永遠の物語。

個人的には、多くの方が読んでいる本の感想を書くのには、どこか見えないプレッシャーを感じつつ、2019年8月に著者直筆【初期スケッチが新たにスイス北部で見つかった】記事を見たのをキッカケに久方ぶりに手にとりました。

さて、そんな本書はご存知とおり。サハラ砂漠に不時着した飛行機の操縦士が、砂漠で一人の男の子と出会い8日間一緒に対話をして過ごし、絆を深めていくのですが。

今回の再読で感じたのは、以前、子供の時に読んだ時は【ぼんやりと感じるままで楽しかった】記憶があったのですが。著者の墜落体験や他作品との関係性、国内の20にも及ぶ翻訳の違い、キリスト教やエジプト神話、第二次世界大戦と関連づけた解釈と他の多くの方々が書かれているのを拝見したり、必死に【数字や解説で頭で楽しもうとしている】自分にふと気づき、まさに本書内で王子さまが訪れた【星々にいた大人たち】に自分もいつしかなってしまっているのだな。。というまるで鏡を向けられ『自分を再発見』したかのような苦々しい読後感でした。

それでも『夜間飛行』や『人間の土地』といったヒロイズム溢れる飛行士を直接的に描いて【宮崎駿監督が愛読し、挿絵を描いている】のも映画を見れば納得の作品を書いてきた著者が、第二次世界大戦中にアメリカに亡命しての従軍中に本書を書いたのを【大人になって知ってから】読んだことで。当時迫害を受け亡命中のユダヤ人親友へのあたたかい献辞から始まる、実体験を基にしながらも最早直接的ではなく【詩的かつ寓話的、神話的に描く】本書を一体どのような心境で執筆したのだろうか?と新たに想いを馳せる事が出来ました。

子供から大人まで。何度も読み解ける作品を探す誰かへ。寓話的、神話的な名作を探す誰かにもオススメ。

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