見出し画像

ショート・ショート・キョート

"この本では(中略)もう京都観光し尽くした人でも、『こんな風に、ホンマの京都の暮らしを感じてみはるのはどうやろか』と新しい旅の切り口を発見してもらえたらと思いながら執筆しました。"2020年発刊の本書は京都出身のイラストレーター・漫画家が京都の日常に潜む哲学を描くショートショート作品集。

個人的には京都初心者。というわけで、手当たり次第に京都本を手にする中で、本書についても手にとりました。

さてそんな本書は、竹をわったような京都人OLの"コトちゃん"、数年前に移住してきた"しろくまくん"、コトちゃんの妹にして学生の"ハナちゃん"、ハナちゃんのボーイフレンドにして大阪出身のいい奴"のぼるくん"の4人を登場人物にして、基本的には見開きのうち片面が四コマ、もう片面がその内容に応じたエッセイ。という形式で春夏秋冬の京都の日常を第58話、約170ページで描いているのですが。

まあ、効率よく京都観光するためのガイド情報を求めている人には悪い意味ではなく【全く不向きな本】なんですが。"他府県の人が言う京都好き、と住んでる人がなんだかんだで京都好き。は微妙に違う街のことを考えているような気がします"と著者があとがきで書いているように、生活実感としての空気感がゆるく閉じ込められいて、私にはとても気持ちよかったです。

また同じく登場人物たちも、何かしらのステレオタイプ、レッテルを貼られた役割を背負わされることもなく。例えばハナちゃんのボーイフレンド"のぼるくん"が、大阪出身だからといって【変にテンション高かったり、笑いをとろうとすることもなく】ただ、そこに一緒にいて話している。自然な感じなのも好印象でした。

特別ではなく平熱の京都生活を知りたい方や、ハイテンションな漫画作品に疲れた方にも癒し的にオススメ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?