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現代思想入門

"現代思想は、秩序を強化する動きへの警戒心を持ち、秩序からズレるもの、すなわち『差異』に着目する(中略)本書ではデリダは『概念の脱構築』ドゥルーズは『存在の脱構築』フーコーは『社会の脱構築』という分担で説明します"2022年発刊の本書は気鋭の研究者による"入門書のための入門書"

個人的には、主にフランスで1960年代から90年代に展開された『ポスト構造主義』哲学を指す『現代思想』の流れをイメージしたく本書を手にとりました。

さて、そんな本書はメディア露出も多い哲学・表象文化論を専門とする著者が"暗黙の前提"が多く、また【学問的難解文章から敷居の高さがある】現代思想について。意図的に"かなりラフな文章"で解説してくれていて。まず冒頭で"今なぜ現代思想を学ぶのか?"から始まり、前半の約100ページでデリダ、ドゥルーズ、フーコーを『二項対立の脱構築』を共通テーマとして解説。(いったんのまとめを挟んで)後半は現代思想、20世紀的感覚"ヤバいものこそクリエイティブだ"の先駆者として、ニーチェ、フロイト、マルクスを。そしてラカンの超入門、最後にポスト構造主義のあとの最近展開をカトリーヌ・マラブーやカンタン・メイヤスーを紹介してくれているわけですが。

まず、やはり研究者としての豊富な専門的な知識を下敷きに、また最近の二項対立的な風潮の危険性を指摘しながらも、あえて本書は【誰にでもわかる平易な言葉、断言的な書き方】をしてくれているのが本当に素晴らしく。私のような『哲学の研究者や愛好家ではない』身としては助かりました。

また『現代思想入門』としつつも、それだけでなく【前後のつながりについても】限られたページの中で圧縮するかのようにダイジェスト紹介してくれているのも、理解が文脈的に繋がる感覚があってとても良かったです。

とにかく現代思想理解のとっかかり、入り口を探している方に。また最近の二項対立的な風潮に嫌気がさしてる人にもオススメ。

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