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共産党宣言

"支配階級よ、共産主義のまえにおののくがいい。プロレタリアは、革命において鎖のほか失うべきものをもたない。かれらが獲得するものは世界である。万国のプロレタリア団結せよ!"1848年発刊の本書は共産主義を明らかにし日本では発禁処分でもあった、資本論の前に読むべき歴史的文書。

個人的には、社会主義、そして共産主義が【ソ連崩壊と共に失敗に終わった】と捉える人が多いように感じる中、あらためて何だったのか。と読み直してみました。

さて、そんな本書は有名な冒頭『ヨーロッパに幽霊が出るー共産主義という幽霊である』から始まり、一章はこれまた有名な『これまでの歴史は階級闘争の歴史である』と労働者(プロレタリアート)と富裕層(ブルジョワジー)となり【生産力の拡大が格差や搾取につながっている】ことを指摘。二章においては共産主義の【粗野な平等化ではない具体的な経済政策(一部は資本主義でも採用されている)について】そして三章から四章は当時のヨーロッパの社会主義的な流れ、そして国家の枠組みを超えた連携を呼びかけて終わる。わずか60ページほどの文書なのですが。

まず、何でしょう。国家の枠組みを解体するような革命といったことにファンタジーと諦めを感じてしまう私にとっては、扇動的かもしれなくても本書全体に溢れる熱情、そして本書が多いに受け入れられた当時の時代を考えて【歴史的にifが起きていたら?】と考えさせられる読後感でした。

また、本書では特に重要な二章での富裕層への累進課税、農業と工業を統合(都市と農村の対立をなくす)児童労働の禁止と無償教育の提供、銀行や運輸機関の国有化などが20世紀後半の【資本主義国家でも採用されている】わけですが。こうして読み直すと社会主義、共産主義は失敗というより【既に吸収され血肉化(骨抜き化?)したのかな】とも思いました。例え、より生産力は上がっても、より経済的な格差は広がっていくばかりだとしても。

歴史的な文書を読みたい方へ。また非常事態において実感させられる資本主義における格差について。ちょっと振り返ってみたい方にもオススメ。

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