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ハイペリオンの没落

"片手をかかげ、娘は大声でいった。『シーユー・レイター、アリゲイター!』ソルも片手をそっとあげた。『インナ・ホワイル・・クロコダイル』"1990年発表、ローカス賞受賞にして【長門有希(涼宮ハルヒシリーズ)ファンにも有名な】本書はSF古典傑作『ハイペリオン4部作』の2作目にして、前作の謎が明らかになる興奮の一冊。

個人的には前作にして、デカメロン?あるいはカンタベリー物語?の様に主役達、選ばれた巡礼者達が参加意図をそれぞれ1つの物語として語るも謎は先送りの『ハイペリオン』を読み終えた後、気になって仕方がなかったのですが。ようやく手にとりました。

さて、そんな本書は俯瞰的な『神の視点』の語り手"ぼく"ことジョセフ・セヴァーンが新たに登場。このスケールの大きな物語全体を補足してくれつつ、前作の語り手であった巡礼者たちは、同時進行的に次々に謎の存在、圧倒的な時空間跳躍能力と戦闘能力を持つシュライクによって惑星ハイペリオンで襲われていく中、宇宙では連邦と宇宙の"蛮族"アウスター艦隊の一大決戦が行われていくのですが。

まず、前作の謎の"解答編"としての性格を持つ本書、上下合わせて約1000ページを費やして丁寧に回収、一つ一つ解決されていて【翻訳の素晴らしさも伴って】読みやすくも読み応えある、さすがの読後感でした。

また、イギリスのロマン主義詩人、ジョン・キーツの物語詩『ハイペリオン』『ハイペリオンの没落』を下敷きにして、本書はいかにもB級SF的なギミック、様々な要素を【大量にリミックスしながら】描かれているわけですが。いまだに映像化されていないのが不思議な感じで。レトロさを残しつつも【今の特撮技術でぜひ映像化して欲しい】とも思いました。(さて、シリーズ残り『エンディミオン』『エンディミオンの覚醒』はどうしようかな。。)

SF好きな全ての人に。またスターウォーズのようなスケールの大きな、そして群像劇的な宇宙戦争物語が好きな人にもオススメ。

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