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京都の神社と祭り

"本書では、さまざまな神社や祭を、京都という都市のあり方と関連づけながら考察していきます。裏をかえせば、本書は、京都を『神々と祭礼の都市』として考える試みといえるかもしれません。"2015年発刊の本書は、神社や祭を重層的、知的な愉しみとして変えるきっかけを与えてくれる良書。

個人的には京都移住に加えて新型コロナの影響も"追風にして"神社巡りにはまっていることから本書を手にとりました。

さて、そんな本書は市内約三百の神社から【歴史が古く、また氏子により現代まで維持・継承されている】を基準に、京都を代表する神社として、下鴨・上賀茂神社、松尾大社、伏見稲荷大社、八坂神社、北野天満宮、上・下御霊神社、今宮神社の九社をリストアップ、都市としての平安京成立以前から成立後、また平安時代後期からの神社の在り方や祭の変化について。【確かな文献と大胆な考察】をまじえて解読しているわけですが。

前述の通りに、神社巡りをする中で薄々感じていた『一般に無条件に共有されている由来』例えば、古くからの伝承やお伽話といった"〜らしい"に対するもやもやに本書は鋭く切り込んでくれていて。個人的には、なるほど!という膝を打ったような読後感でした。

また後書きでも著者が触れているように、そこまで神社に興味がなかったとしても、例えば祭の一部。祇園祭の山鉾巡行や葵祭の路頭の儀だけを見て【わかったように終わらせてほしくない】といった気持ちには私も共感するわけで。京都観光に訪れる予定のある方や、京都在住の方も(移動に制約が課せられる今だからこそ)ぜひ本書を手にとって、京都はもちろん【地元の神社や祭りの魅力をあらためて発見する】一助にしてほしい。と思いました。

京都はもちろん、全国の神社好き、祭好きにオススメ。

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