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現象学の理念

"ラーメンを食べたとき、あなたは何を思いますか?『出汁はなんだろう?』『この値段でこれなら合格!』とか?。いえいえ、まずは『うまい!』あるいは『まずい!』と思いますよね?"2020年発刊の本書は20世紀哲学に大きな影響を与えたフッサールの『現象学』をラーメン漫画で美味しく学べる一冊。

個人的に作者の狙いどおり?ラーメン好きなために『一体どんな内容なのか?』と気になってしまい手にとりました。

さて、そんな本書は『ラーメン絵歩形』という新しくできたラーメン屋を訪れたサラリーマンが、2種類しかない食券『普通のラーメン(1500円)』中身は全く同じだが"ラーメンに関する説明を聞く義務が生じる『現象学的還元ラーメン(500円)』のうち【内容が同じなら(安くて)むしろラーメンオタとして店主のウンチク聞けるのは望むところ】と、後者を注文したことで、今まで持っていた既成概念(知識や期待感)を消すー【エポケー(判断停止)してもらい、純粋な『うまい』という直感を取り出してほしい(還元)】と店主の仏猿(フッサル)に語られていくのですが。。

まず、店主が口を開く前から『先に当ててみようか?この麺は北海道産の。。』と自慢げに話し出す、サラリーマンの姿には『ヤツらはラーメンを食べてるんじゃない。情報を食べてるんだ!』と『ラーメン発見伝』『ラーメン才遊記』のラーメンハゲこと芹沢達也の姿と言葉が浮かんでしまいましたが。本書では情報はもとより、ラーメン以前の話。主観や客観をやめて内在・超越話にまでなっていくのが面白かったです。

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ただ、冒頭の言わば『つかみの約10ページ』は【確かにラーメン屋なんですが】再びサラリーマンが彼女?らしき同僚と訪れると、あっさりラーメン屋は移転して業態も『一回に一組しか接客しない』【ラーメン&居酒屋】になっており、作中に出てくるメニューも冷奴におでんとなっていくのが、語られる内容からして、またSF的なラストを考えても『不自然ではない』とは言え【ラーメン好きとしては寂しかった(笑)】あと、途中から乱入してくる常連客、経験論のヒュームそっくりの場栗飛雄無(ばくりひゅうむ)資本論のマルクスそっくりの丸久須の【ネーミングも含めて扱いが雑】なのも笑わせていただきました。

フッサールはもちろん、西洋哲学好きな方に気軽な哲学漫画としてオススメ。


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