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白い牙

"愛が出てきた。ホワイトファングは自分に与えられたものに報いたのである。それは、本当に神であった。愛の神、暖かく輝く神であった。"1906年発刊の本書は。成長を描くと同時に【オオカミ視線で人間社会を風刺的に描いた】何度も映画化された事でも知られる動物文学の世界的傑作。

寒い季節になると、やはり北国を舞台にした作品が読みたくなる事もあり、表紙から寒さの厳しさが伝わってくるアラスカ州が舞台の本書を手にとったのですが。

四分の一だけイヌの血をひいて生まれたオオカミの子が、インディアンに飼われ、白人の手に渡って虐待されたり、逆に愛されたりしながら成長する姿を描いた本作。まるで某ラオウ様のような【そうだ おれはいまだ愛を知らぬ】という【荒んだ状態からデレていく】野生→愛犬化といった展開がなかなか新鮮な印象でした。

また本書はオオカミの視点なので、自分たちより圧倒的な存在として人間が神様として描写されているのですが。オオカミから見ても【様々な神様がいるんだな】という皮肉っぽい描写や、人間社会の【複雑すぎるルール】に対して不思議に感じている描写も風刺が効いていて面白かったです。

オオカミ好き、犬好きな誰かへ。また動物目線からの風景異化に関心ある方にもオススメ。

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