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プロテスタンティズムの論理と資本主義の精神

"文化発展の最後に現れる『末人たち』にとっては次の言葉が真理となるのではなかろうか。『精神のない専門人、心情のない享楽人。この無のものは、人間性のかって達したことのない段階にまですでに登りつめた、と自惚れるだろ』と。"1904年発刊の本書は【全ては経済が土台となっている】唯物論に対して、近代資本主義成立に宗教ープロテスタントの与えた影響を指摘した経済学的名著。

個人的には経済学部卒として、在学中に当然【読んでおかなければ】と思いつつ残念ながら未読のままだったので、今回ようやく手にとりました。

さて、そんな本書は、神の絶対性を守るために採用された【神によって救済される人間は予め決まっている】プロテスタントにおける『予定説』への現世的不安と恐怖が"神の御心に叶う"『天職』に対する禁欲的労働を生み出し、また結果的に【金儲けにも社会的正当性が与えられた】事が、欧州が【他地域より早く合理的資本主義社会が成立する】のに影響を与えた事を指摘しているのですが。

この何とも【因果が逆転したような考え方】は、おそらく宗教改革運動を起こしたとは言え、保守的かつ厳格なルターが見ればびっくり!の流れだと思うし、また、それを【指摘した著者の視点】にはやはり驚かされます。

あと、あまり誰も触れていない様に感じますが。本書の注釈が【多くてかつ長く】雑学的なエピソードとして読み応えがある事にも、もとは『論文』だから当然なのかもしれませんが【論旨とは別に】楽しませていただきました。

資本主義社会に関心のある誰か、『20世紀の名著』に興味ある方へオススメ。

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