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京都の甘味処は神様専用です

"『科学で証明することができんだけで、神さんはおる。特にこの京都にはな』『京都には神様が多いってこと?』『そうや。千年以上前から栄えとる都やから』"2017年発刊の本書は、京都にあるという神様専用の甘味処『甘露堂』を舞台にした人と神が入り乱れる連作短編シリーズ一作目。

個人的に、京都を舞台にした作品は何でも手にする中で、本書についても手にとりました。

さて、そんな本書は両親が事故で亡くなり、東京から小説家の姉が住む京都に引っ越してきた高校生の天野瑞樹が、ひょんな事から西本願寺と東本願寺の間にあるという神様専用の甘味処『甘露堂』でバイトで働くことになる中、縁結びで有名な野宮神社の神様、あるいは理由あって京都を訪れた貧乏神、または神様になれなかった『ナリソコナイ』といった存在と出会いながら人(神?)助け的な物語が連作として展開していくわけですが。

まず、女の子にも間違えられる華奢で中性的な主人公、そして主にコンビになる同じ年にして店のオーナー、長身で大人びた着物が似合う京男、神代冬夜の二人が、作中でも周りから【腐女子受けする】とイジられていることから、てっきり【女性作者の『そっち系』の理想が反映されているのだろう】と思い込んで読んでましたが。がっちり男性作家だったのにちょっとびっくり。

一方で、京都市内が舞台の作品は観光客にとって馴染みのある有名スポットが集中する鴨川沿いの東側、左京区〜四条河原町辺りが舞台になることが多いのですが。シリーズ一作目の本書は私にとって生活圏である西側【西本願寺近くから二条城辺り】が舞台の為、まるで登場人物(神様も含めて)が【実際に近くにいてるような不思議な身近さ、親しみ】を覚えて楽しかったです。

京都を舞台にした気軽にさくさくと読める本を探す人に、また美少年好きな方にもオススメ。

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