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銀河ヒッチハイク・ガイド

"これはまたある本の物語でもある。『銀河ヒッチハイク・ガイド』という本で、地球では出版されたことがなく、その恐ろしい災厄が襲ってくるまで、地球人はひとりとしてその本を見たことも聞いたこともなかった。"1979年発刊の本書はバカSFの金字塔にしてワイドスクリーンバロックSF大傑作。

個人的には、米Huluで"現代的にアップデートして"ドラマ化されることが決定!という記事を2019年に見たことをきっかけに何十年ぶりに再読したのですが。先に結論から言えば、おバカSFと評されるも直接的ではないシニカルなブリティッシュジョーク(鬱病ロボットとか!)溢れる本作【ようやく大人になって面白さがわかってきた】気がしました。

さて、そんな本書は1978年の英BBCラジオで放送されていたラジオドラマを企画、脚本を担当していた著者自ら小説化した結果、ベストセラーにしてロングセラーシリーズ化。いまや、35ヶ国語翻訳、1600万部以上売れたと言われ、映画化もされている有名作品なわけですが。まだ未読な方はぜひ、冒頭からの驚き展開に戸惑わずに理屈抜き、先入観抜きに感じるままに(細かな所はさておき!)読み進めてほしい【難解な用語で壮大なスケール】ワイドスクリーン・SFの魅力がたっぷりと詰まっていて、実に【SFしか描けない世界を堪能できる】と思います。

そして、今回の再読で何故かとても印象に残り、また思わず笑ってしまったのは、表紙にも登場している"まったくありえない確率で宇宙空間に出現したマッコウクジラ"。その思考を著者がご丁寧にも【忠実に再現している】わけですが。なんとも実存的。物語的な役割として【まったく関わりのない在り方】が、何とも本書の特徴をよく表していると感じました。

テンポ良く、スケール大きく展開するSF好きな誰かへ。また【お約束的ではない物語】が好きな誰かにもオススメ。

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