見出し画像

二都物語

"『今僕のしようとしている行動は、今まで僕のした何よりも、はるかに立派な行動であるはず。そしてやがて僕の勝ち得る憩いこそは、これまで僕の知るいかなる憩いよりも、はるかに美しいものであるはずだ』"1859年発表の本書はフランス革命前後のフランスのパリとイギリスのロンドンの二都を舞台に【家族の絆と愛を描いた】エンタメ長編傑作。

個人的には毎月主宰している海外文学読書会の課題本として、また『クリスマル・キャロル』に続く2冊目として手にとりました。

さて、そんな本書はフランス革命によって立場の厳しくなったフランス貴族、荒れ狂う市民という歴史的背景の中で運命に翻弄される家族や友人たちを【連続ドラマ的、サービス精神豊かに描いている】のですが。まず最初に印象的だったのは冒頭からの【映像的な描写】映画にも通じる巧みなカメラワーク的展開でしょうか。作中世界に没入させてくれるのにとても効果的で関心してしまいました。

一方で、物語自体は現代から見ると全体的に多少荒いというか、少なくともプロットは丁寧ではないようには感じましたが。ひるがえって登場人物たちの細部描写、場面場面での躍動感あふれる【生き生きとしたセリフ回し】は素晴らしく、これは一般大衆に支持されるだけでなく【ドストエフスキーが愛読、トルストイが絶賛した】のも確かによくわかるな。と多くの作家へ影響を与えた事にも納得したり。

イギリスの国民的作家のもっとも知られた代表作として、またフランス革命後の混乱した時代を連続ドラマ的に楽しみたい人にもオススメ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?