見出し画像

ドン・キホーテ前編2

"するとドロテーアが(中略)この目的を遂行するのに不可欠なその役回りをまかせてもらいたい、自分はこれまで騎士道物語をたくさん読んできたので、悲嘆にくれる乙女が遍歴の騎士に力添えを頼む際の言葉づかいを熟知しているから、と言った"1605年発表の本書は自称騎士と仲間たち?によるカーニバル文学傑作。

個人的には、ようやく手にとったシリーズ1作目があまりに面白かったので引き続き手にとりました。

さて、そんな騎士道物語の読み過ぎで現実と物語の区別がつかなくなった郷士こと『愁い顔の騎士』の(相変わらず馬任せ、行き当たりばったりの)冒険譚、2冊目となる本書では(悪党たちを護送している警備隊長に)"抑圧と屈辱を取り除く!"と槍で(不意打ちで)一突きしたり、山奥で騎士道物語を再現する!と果敢な挑戦(下半身をあらわにして宙返りする)に挑む引続き(傍迷惑な)【ドン・キホーテの大活躍】が描かれているわけですが。

まず。そもそも目的地も決まってない放浪の旅ですが、本書では、脱線的な作中作として、美女ルシンダを巡る若者カルデニオと"親友"にして好色なドン・フェルナンドの【恋の裏切りエピソード】"に大きくページが割かれていて、良くも悪くもドン・キホーテではまず無理な【ちゃんとした古典的恋愛物語】にちょっと一息つける安心感がありました。

また山奥で1人狂態を繰り広げるドン・キホーテが後景に退くかの様に、本書では地元の仲間たち、司祭と床屋がドン・キホーテを連れ帰るべく一芝居うつわけですが。ドン・フェルナンドに(こちらも裏切られた)失意の美女ドロテーアの【変わり身の早さ、ノリノリで】"ミコミコン国の王女ミコミコーナ"を演じる姿には大爆笑してしまいました。

古典文学名作に爆笑を求める誰かに、また物語好きな全ての人にオススメ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?