見出し画像

アンネームドメモリー 青き月の魔女と呪われし王

"ーたとえ彼が己の選択肢を、自分一人に置いていたとしても。それを忘れるくらいの無数の選択肢を、自分は彼に贈るだろう。魔女と契約するとはそういうことだ。歴史の影から伸ばされる穢れた祝福だ。"2019年発刊の本書は、呪われた王太子と最強の魔女の【押し問答で進む】変革のお伽話。

個人的には、こちらも関わらせていただいている【読書による文学賞】の推薦図書として手にとらせていただきました。

さて、そんな本書は魔法が当たり前に存在する世界を舞台に幼い頃に受けた呪いを解呪するために【魔女の試練を軽く乗り越え】契約者となったメンタル鋼鉄の王太子をボケ役?そして冷静な魔女をツッコミ役として物語が展開していくわけですが。

シリーズものの始まりとして『事件』という短篇的なエピソードの連なりで【世界観の解説や伏線を展開している】本書は、全体としては穏やかな印象があるも、所々で派手なアクションシーンも盛り込まれていて飽きさせない。

一方で、個人の【WEBで発表した小説が反響を呼び】改稿した上で書籍化された話や、多くの作品では敵対するイメージのある【王太子と魔女がコンビを組みリズミカルな会話で進む】流れには、別の作者だが、良くも悪くもメディアミックス展開した人気作『まおゆう魔王勇者』を懐かしく彷彿させる所があり、本書が今後どうした展開を見せていくのか?とても楽しみに思いました。

丁寧に描かれる王道ファンタジー小説好きへ、またテンポの良い会話劇的な小説が好きな人にもオススメ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?