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差し出せ手のひら、きっかけが舞う
入学式を終え、桜真っ盛りの大学に繰り出すと、桜よりも幅を利かせて待っているものがあった。
たった一年しか歳が変わらない「先輩」と言われる人たちが、はけることを目的に撒いているビラというやつだ。入学式は同時に、新歓のゴングでもある。
どこにどうきっかけが広がっているかわからないから、「先輩」は無造作に勧誘する。僕は根っからの文化系だったわけだが、なぜかワンダーフォーゲル部の新歓ブースに連れて行かれ
組まれなかった肩と、春の喧騒
2016年、4月2日だったと記憶している。
初めてスーツというやつに袖を通したのだ。あまりの着心地の悪さに、大学生になった実感が湧いた。式は、粛々と厳かに行われるのが通例だ。
真面目ぶった人が真面目ぶったことを言って、それで終了。のはずなのだ。
これから4年間苦楽を刻み込むことになるこの場所に、初めて降り立った日。
あまりの人の多さに、すでに今までとは違う空気を感じ鳥肌が立った。
入学式は講堂で
終わって欲しかった日々
2016年3月。
何日だったかはもう忘れた。当時在籍していた高校を巣立った日。
僕は在籍していた3年間で抱えたあふれんばかりの葛藤を封じ込め、
不気味に笑う校長を目の前にして答辞を読んだのを覚えている。
俺の話が長い(某ドラマのようだ)ことは学校中で有名で、答辞中に起立していた卒業生の一人が、長すぎて貧血で倒れたのは、僕にとって答辞を読んだこと以上に愛おしい思い出だ。
「泣いたよ」とかも言われたし