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メコンデルタの原風景の魅力Stiermann Ricefield Lodgeへ

海外、とりわけ発展途上国で国際協力や観光開発事業に関わる際、欧米の企業や実業家の方々、各国の取り組みには、大いに関わっていくと良いと思うし、私自身も自分の活動を日本とベトナムの二国間に留めさせず、より拡大していきたいと考えている。

実際、今の仕事内容は、ある意味自分が日本人であることのメリットをほとんど生かさないまま、日々英語とベトナム語で進めている。(もちろん、国内外の日本関連の政府組織や企業内の方々とは日々情報共有を行っている。)理由は、現状の需要としてこの2か国語での情報受信・発信が急務だからだ。こと観光開発というと、そもそも手探りで初めていくことがほとんどで、カントーにしてみれば、すでに途上国で行うコミュニティーツーリズムやアグリツーリズムの好事例がいくつかある。そんなすぐ近くに、この地域全体が目指す観光開発の在り方があって、彼らと仲良くなって、政府や行政、企業、地域の人々の架け橋となり、より多くの人々に発信することほど、効率的なものは無い。

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メコンデルタの原風景が残る場所

今回お会いしたのは、カントー市内からバイクで1時間ほど行ったフォンディエン地区にあるStiermann Ricefield Lodge を経営するドイツ人の実業家で、Stiermann氏とは7月に開催されたアグリツーリズムのセミナーで一度お会いしていた。

40年程、観光開発コンサル、ホテル経営、公認シェフ等の事業や仕事に関わり、その間やその後に世界中をバイクで旅行。その後、ベトナムのメコンデルタの川沿いにロッジを立て、自らの場所を作り出していた。何よりも面白かったのは、同じ「先進国」から「発展途上国」に来た立場として、ベトナムの、とりわけカントーの観光開発に警鐘を鳴らしていることで、同意する点が多くあった。現状、カントーでは、多くのものに同時に手を出し、作ることが目的で、その後のメンテナンスの部分に関しては多くの改善点がある。人材の育成も間に合っていない。投資プロジェクトが同時に進むものの、観光分野での内容はテーマパーク誘致であったり、短期的な開発目標に躍起になっている部分がある。必要なものは、今ある文化を守ることであり、ここの強みを失ってしまっては、他の都市と同じになってしまう。都市の人々が、メコンデルタに来る意義を失ってしまう。

「人材の育成」という点では、難しいのは言語やサービスというものを教える以上に、例えば「初めてロッジに訪れるお客様の行動や期待、感覚を想像して、視界に入るところで洗濯物を干さない」等の気遣いは、自身が実際に旅行者側として待ち望んでいた旅を体験していないと教えることは難しい。氏も、自身の経験や体験に基づくものほど、言葉で伝えることは難しいと述べている。ディズニーランドを体験したことが無い人に、ディズニーランドの対応を求めたところで、言語以上に難しいものがある。

「初めは、地域の人々と一緒に、川沿いのロッジを自分のために建てたが、より多くの人々にもメコンデルタの魅力を体験してほしかった」と地元の建設会社と通訳、地域住民も巻き込んで数軒のロッジを建てた。

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左手には最近完成したプールがある

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近所に住んでいるベトナム人の女性が、ランチを用意してくれていた

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2年前は新地だった場所に、今は広大な果樹園が!

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手作りの橋。メコンデルタには至る場所に猿橋と言われる木造の橋があり、この橋を渡る体験すらもユニーク

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レッドバナナ!

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果樹園で採れたドラゴンフルーツ、スターフルーツ、そしてレモン!

氏に「世界中を旅して、なんでメコンデルタを選んだのか?」と聞いてみた。「スーツとかコート、ジャケットを着るのが嫌い、シューズも好きじゃないし。サンダルが好き。あとバイクが好きでベトナムはバイク天国でしょ?ここの人々や食の豊かさも良い。」と教えてくれた。

開発途上国で、たまに、自分がいる意義を見失ってしまいそうなときがある。そんな時に、氏のようにメコンデルタの観光開発について改善点が多くあるとしながらも、自身で場所をつくり、ここの良さを広げていこうとしている人がいて、心強さを感じた。

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近くの村の一コマ。氏がバイクで通ると、村の子供たちがハロー!と話しかけていた。みんな氏が大好き。

「たまに自然や静かな場所が恋しくなったら、いつでも来てね」

そんな言葉が嬉しかった。




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