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人の弱さこそ、強さだと思う【アニメ「王様ランキング」を見て】

※本noteにはネタバレが含まれます。

普段アニメを見ない私ですが、これはちょっとやべえぞ!というアニメに出会いました。
「王様ランキング」です。

耳が聞こえず、言葉を話せないボッジ王子が主人公なのですが、
国民や家臣、家族にも馬鹿にされ、偉大な父親であるボッス王の息子ながら、非力で剣術もままならず、優秀な弟にも見下されます。
そんなボッジに、カゲという暗殺者として活躍してきた一族の生き残りの友達ができ、心を通わせていきます。
そんな中、王の跡取りとして、悪魔(みたいなやつ)からボッジが指名されたものの、王家の人間の多数決により弟が就任してしまいます。
強くなりたい、より良い自分になりたい、王様になることを諦めたく無いとボッジが成長していく、、という物語です。

人の弱さこそ、強さだって、最近思います。
(なーに言っとんじゃいという顔をせんでくださいよ)
私は今まで、ずっとレールの上から落っこちることをビビる人間でした。
このレベルの高校に受からなかったら人生終わりだ、
このレベルの大学に受からなかったら人生終わりだ、
このレベルの会社に入れなかったら人生終わりだ、
このレベルの年収じゃなかったら人生終わりだ、
みたいな。
(人生終わるタイミング多すぎだわ常に命が危ないやん)
周りにいた友達は、元々家がお金持ちだったりして、自分のやりたいことを諦めるとか、「これやっちゃだめ、あれやっちゃだめ」とか言われた経験がなく、
だから変に曲がったりしてなくて人のことをすぐ信用するし、騙されたとしてもそんなに痛手を負わないから気にしない、みたいな人が多かったです。
そんな人たちに囲まれて育っていたからか(私の実家はお金持ちではないです)ピュアで、曲がっていなくて、擦れてない、みたいな事が一番大切なんだと思って生きていました。
でも、大人になった今思うのは、
自分の弱さこそが強さになるんだって思うんです。
ステータスとか、挫折を知らないからこその大胆さ、そもそも人から傷つけられても痛手を感じないほどのお金を持っていることとかではなくて、
自分の弱さを知っているということ、
自分の弱さと向き合うということ
その上で、自分を信じられること
こそが強さなのではないかなって思います。

ボッジは耳が聞こえないこと、皆と同じように話せないこと、
普通の人よりパワーが無く、王様に必要な強さが無いこと、
とにかくこれでもかくらい挫折を繰り返してきましたし、
自分がどれだけ人と比べて優れていない部分があるか、ということを強調されて生きてきました。
(地獄?)
今までいくらだって自分を諦めることは出来たし、人生を自ら終えることだって出来ただろうし、人を憎むということも出来たと思います。
それでもボッジは自分を諦めてこなかったように見えるのです。

国民も、家臣も、王様を評価する王様ランキングでも、王様は強くあれねばならない、という考えがはびこっている世界で、
パワーが全く無いボッジは、無能でみじめな存在だと評価されてきました。
でも、ボッジは何を言われてもどんな仕打ちを受けても人前で涙を流さず、自分に絶望せず、人に卑屈に当たったりせず、その世界の評価軸に負けませんでした。
どんなに人に馬鹿にされても、王様になれると自分を信じていたこと、
自分らしさを忘れなかった事、
どんなに虐げられようと、人の本質を見ようとしていた事、
それこそがボッジの持つ強さなんじゃないかなあって思うのです。

そして、すごく思ったのが、
ボッジが国民に「なんて馬鹿なんだ」「なんで喋れないんだよ、喋ってみろよ」みたいな悪口を言われている時に、涙を堪えるシーンで、
国民が「え?何かしら、聞こえてるはずないわよね…」と狼狽えるんですよね。
このシーン、SNSの誹謗中傷に見えました。
言ってる方は、自分の声なんて届いていない、大した事ないって思ってる。
でも、届いていない悪意なんて無いし、人を傷つけない悪意なんて無いということ。
どのような形でも必ず悪意は届いて、その人を傷つけたり殺してしまう、お互い生き物である限り。
一番弱い人というのは、人のことを傷つけてしか自分を保てない、ということもまた、このアニメに暴かれているなと思いました。

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