キルデスレート666

「ちぇっ!でねーでやんの!」

眼の前のチンピラ悪魔に向けて引き金を引いた、弾は出なかった。よくあることだ。

拳銃はこの街で一番使えない武器だ。包丁くらいにはすぐ手に入るが、手が吹っ飛ばなかっただけ当たり。そんなところだ。

「コイツ、死んデマスゼ兄ィ」舎弟のバリヨンの驚いた声。バリヨンは肌が石でできた、大男の馬鹿だ。弾除けにピッタリのカワイイ奴だ。

「ショック死か?ビビり過ぎだろ」

妙な装飾の施された拳銃を眺める。なんかのアニメで見たような古めかしい感じ、ルガーとかワルサーだったか?先週、占い屋を地上げしたときに有り難く貰ってきた。しっかりと手入れされていた、だから使えるとは思ったんだが。

「メルカリに出せば、ちったあ金にはなるか」

「兄ィ、今時メルかリデモ拳銃は買ウ奴イマセンヨ?」

「それもそうか」

窓の外に目をやると、足が3本生えたカラスが電線に止まっている。俺はもう一度引き金を引く。カラスは落ちた。

【続く】

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