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展覧会「こぐまちゃんとしろくまちゃん 絵本作家・わかやまけんの世界」
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展覧会「こぐまちゃんとしろくまちゃん 絵本作家・わかやまけんの世界」

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絵本ユニットPiyoko-Laboイラスト担当・陽菜ひよ子です。

JR名古屋高島屋で開催中の「こぐまちゃんとしろくまちゃん」の作者・若山憲さんの展覧会、会期ギリギリに行って参りました。

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会場入り口前に、いきなりかわゆいPhoto Spot!

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実はちゃっかり自分も入れて撮影したのですが、ここでは自粛。
会場入って目の前に涼しげなお水遊びのこぐまちゃんたち!

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こちらもしっかり混ざって撮りました。

会場ではこぐまちゃん絵本以外に、たくさんの水彩の原画やリトグラフの作品がたくさん展示されていました。デパートの催事ということもあり、あまり数は期待してなかったのですが、圧巻の作品数で大満足。

作者:わかやまけんさんとこぐま社について

作者の若山憲さんは元々グラフィックデザイナーで、絵本作家としての出発は紙芝居だったそうです。紙芝居といえば童心社。

1957年、童心社の歴史は、若山さんが手がけた紙芝居「クリスマスおめでとう」からはじまります。童心社にとっても絵本作家・若山憲さんにとってもデビュー作だったんですね。

「クリスマスおめでとう」は水彩作品で、のちのこぐまちゃんとはまったく作風が異なります。

その後何点か絵本を発表後、1970年、「日本の子どもがはじめて出会う絵本を作りたい」という想いのもと「こぐまちゃんシリーズ」が誕生。

「こぐまちゃんシリーズ」は、児童文学作家の森比左志さん、児童劇作家の和田義臣さん、絵本作家の若山憲さんの3人に、こぐま社の代表である佐藤栄和さんを加えた4人で企画段階から共同で作った本です。

こぐま社の創業は1966年。若山さんのこぐま社での最初の仕事は、翌1967年(こぐまちゃんシリーズ発売の3年前)、あの伝説の子供番組「ロンパールーム」(1963 - 1979)の本「りぼんをつけたおたまじゃくし」の作画だったのだそうです。文章は、こぐまちゃんシリーズにも参加しているわだよしおみさんが担当。

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ロンパールーム、懐かしい!と思わず声を上げたら
次の人も同じことをつぶやいてました(ぷぷぷ)
「きれいなき〇〇ま事件」が有名よね。
あとでぬいぐるみが置かれてたという。。。

主人公の名前が社名になったのは偶然のようで、最初は「くろくまちゃん」「ちいくまちゃん」などと呼ばれていたそうです。

それにしても、童心社のスタートに携わり、こぐま社を代表する(社名と同じ名前!)シリーズを担当するなど、素晴らしすぎます!


「純絵本」と「物語絵本」


若山さんは絵にこだわり、「文字を読まなくても、絵だけで物語が伝わる絵本=純絵本」を目指したのだそう。それこそ、こぐま社が目指す絵本の形でもあったんですね。

こぐまちゃんの明快な線で描かれたリトグラフも素敵ですが、1970~80年代にかけての水彩の素晴らしさは目を見張るものがあります。

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こうした淡くやさしい色彩のものから、はっきりした線画まで、作風には幅があります。若山さんはご自分の個性を表に出すより、その絵本に一番合う作風であることに重点を置いていらしたようですね。

絵本以外に雑誌・冊子などの表紙を多く手がけられました。この「保育の友」の表紙はどれも色彩が美しく夢があって、自分もこんな絵が描きたいな~!としみじみ。最近ではデジタルで色を入れることがほとんどですが、久しぶりに絵筆をとってみたくなりました。

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こぐまちゃん、50年の歴史


1970年に生まれたこぐまちゃんは、昨年で50周年。色鮮やかな色彩は「特色印刷」で刷られるんだそう。特色印刷、仕事でよく耳にはしますが、実はよくわかっていませんでした。

通常はCMYKと呼ばれる4色の組み合わせで印刷されます。そのCMYKの組み合わせでは出せない色を特別に作って刷るのが特色印刷。

この「こぐまちゃん絵本」を刷るためだけにつくられた「特別なインク」(黒・オレンジ・黄色・青・灰色・緑)を使う贅沢な方法なのです。

また、リトグラフは、色ごとの版を作って1色ずつ刷って色を重ねていく、とても手間のかかる方法。

以下のリトグラフ制作の動画では、インクの色をつくるところから職人さんが丁寧に1色ずつ刷っていくところが見られます。

◎リトグラフ制作の様子

会場には、発売当時の1970年代のリトグラフと、この展覧会のために2019年に刷られたリトグラフが並んで展示。同じ特色でも、50年近くの月日が経つと色合いが全く異なります。

左が1972年、右が2019年。会場で見たモノとはまた少し印象が違いますが、1972年のは経年もあってくすんだ感じ。2019年は色鮮やかです。好みの問題ですが、私は昔(左)の方が好きだなーと思いました。

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この2枚のイラストは同じシーンですが、読者からの意見を取り入れて、1980年頃の版以降は右の泡がないイラストに差し変わってるんだそうです。その理由を聞いて納得!ぜひ会場で確かめてくださいね。

それにしても、こうして変わっていくのも、長い歴史があるからこそ。しみじみ、50年ってすごい歴史だな、と思いますね。


こぐまちゃん、かわいさのヒミツ


こぐまちゃんの形はシンプル!なんかもう世界3大シンプルキャラクターといってもいいかもしれません(残り2つはミッフィーとハローキティ)。

その原型はなんと「こけし」なのだそう!お洋服は流行に左右されることのない衣服の原点「ポンチョ」。グラフィックデザイナーでもある若山さんらしい無駄をそぎ落とした造形美がキラリ。

シンプルだけど、こだわりの設定でちゃんと個性を出しています。

こぐまちゃんといえば、オレンジに縁どられたお目目。これは「ぬいぐるみ」という設定だから。確かにテディベアなどのお目目ってこんな感じですよね。このお目目が唯一無二の個性になってます。

耳は実は左右アシンメトリーだって気づいてましたか?そして必ず右耳が大きくなってるんだそうです。

思わず「そうか、私もよく左右の耳の大きさが違っちゃうことあるんだけど、違ってもいいんだ!」と言うと、オットからは「意図的ならね」と厳しい一言が。。。た、確かに。。。

いちばん驚いたのは、線が一本ではないということ!え?どういうこと?って思いますよね。

こぐまちゃんは黒いしっかりとした太めの線で描かれています。これはマジック描いた太い一本の線に見えますが、実は違うんですって!細い平行した2本の線で描き、その間を塗りつぶすという、恐ろしく手間のかかることがされているんだそう!

サラリと描いているように見えて、実は考え尽くされ、手間暇をかけられたキャラクターデザインだということがよくわかります!そうしたことを知ってから改めて見ると、今までとは違って見えてきますね。


脱線:紙芝居と私~童心社・紙芝居の殿堂での想い出

話は飛びますが、実は私、10年ほど前に紙芝居の勉強をしていました。紙芝居といえば、若山さんも立ち上げに関わった童心社。その童心社の「紙芝居の殿堂」で、講座の卒業記念に自作の紙芝居を演じたことがあります。

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童心社前にて(2009年)

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『紙芝居の殿堂』にて。
なぜか演じてる(紙芝居を読むこと)写真がないのです。。。

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修了証授与。よく頑張りました。

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展示したギャラリーにて。
修了した受講生が全員持ってる「紙芝居舞台」。
我が家にも今もモチロンあります☆

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舞台には扉がついてて、開けるところから始めます。
自分で演じてる写真はないのに
なぜか私の作品を演じる受講生仲間の写真はありました(笑)

とすっかり話題が脱線・・・失礼いたしました!


楽しいしかけ&グッズがいっぱい


会場を出ると、こぐまちゃんシリーズ一番人気の「しろくまちゃんのほっとけーき」のあのシーンを再現するゲームコーナーがありました。

ズラリと並んだフライパンに正しいホットケーキを貼るだけ!なんですが、これが難しい。。。ここまでなら自信あるけど、この先は。。。区別がつかな~い!

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↓↓ 正解はコチラ ↓↓。こうして見ても難問ですね!でもきっと、小さいお子さんの方がスルッと正解しちゃうんだろうなぁ。

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実はこのページも、1972年の初版とは違った場所があるそうです。

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1972年度版はコチラ。違いがわかるかな?


そしてグッズコーナーはとにかくかわいい!どれも買い占めたくなっちゃいました。。。

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名古屋での展示は明日・8/2(月)が最後ですが、このあと九州、広島、東京にも巡回します!

【巡回情報】
2021.11.27 (土)~2022.1.23 (日) 北九州市立美術館 分館(福岡) 
2022.3.19 (土)~5.15 (日) ひろしま美術館 (広島)
2022.7.2 (土)~9.4 (日) (予定) 世田谷美術館 (東京) 


名古屋展詳細

会期:2021年7月22日(木・祝)~8月2日(月)
時間:10:00〜19:30(最終日は16:30まで)
会場:ジェイアール名古屋タカシマヤ
   〒450-6001 名古屋市中村区名駅一丁目1番4号
主催:中日新聞社
後援:愛知県・名古屋市各教育委員会、愛知県私立幼稚園連盟
特別協力:こぐま社
協力:偕成社、銀の鈴社、クレヨンハウス、佼成出版社、至光社、社会福祉法人 全国社会福祉協議会、世界文化社、童心社、ポプラ社、ほるぷ出版
「こぐまちゃんえほん」など約30冊の絵本のリトグラフや原画を一挙に公開!
「こぐまちゃんえほん」を描いた、わかやまけん(若山 憲)の創作の全貌を紹介する初めての展覧会。

累計発行部数1,000万部を超えるロングセラー絵本シリーズ「こぐまちゃんえほん」から『こぐまちゃん おはよう』『しろくまちゃんのほっとけーき』など初公開を含むリトグラフや原画を一挙に公開!1970年に誕生した「こぐまちゃんえほん」の魅力と秘密に迫ります。

さらに本展では、若山氏の代表作である「おばけのどろんどろん」シリーズなど約30冊の絵本のリトグラフや原画、雑誌など約230点を展示します。半世紀にわたり世代を超えて親しまれている、わかやまけんの世界をお楽しみください。
わかやまけん(若山 憲)

1930年、岐阜県岐阜市に生まれる。地元でデザインの学校に通い、グラフィックデザインの仕事を経て、20代前半に上京。教科書や紙芝居の挿絵などをてがける。その後、絵本の創作活動に入り、詩的な画風で独特の絵本の世界を築きあげた。2015年没。

「詩人や思想家や文学者のような発想を、シナリオライターや建築家のように計算し、演出家やデザイナーのように構成し、画家やイラストレーターのように描き、詩人のことばとデザイナーの感覚で絵本にまとめるということを一人でやれるような絵本作家にぼくはなりたい」

【参考・画像借用】


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絵本ユニット・Piyoko-Laboの制作風景。メンバーは写真家・宮田雄平とイラストレーター・陽菜ひよ子。文章は宮田・絵は陽菜が担当。今後は諸々実験的な試みをしていく予定。宮田雄平 https://miyatayuhei.com/ 陽菜ひよ子 https://hiyoko.tv/