見出し画像

再び始まる位置情報の旅|北茨城2022

助川城 おひたち様

東京から近場で気軽に行けそうで、意外と行く機会のない場所に行こうということで、友人らと北茨城に行くことになった。

東京からおよそ2時間、北茨城地方の日立市で、僕らが最初に観たものは助川城という、幕末に築城された城である。海を見渡せる山の上に築城され、異国船(主にイギリスの捕鯨船)に警戒するための海防城だったが、その活躍する場面はほとんどなく、幕末の混乱の中で焼失したという城である。

遺構として目立ったものがあるわけではない中、「城主が飼っていた鳩の墓」が残るという、謎の城。どういう残り方だ。

ところでこの助川城のある日立市は、日本でも有数の企業城下町である。市の人口の半分が日立製作所関連の仕事に就いていると言われ、街中には日立グループの企業が立ち並ぶ。これはおひたち様には敵わない。

そして、重工業を中心とした産業が盛んな一方で、山と海の距離が近いため可住面積が少なく、街中にバイパス道路を通せないので、海の上に通すという豪快なことをやっている。また、巨大なものを道路で運搬するために、高さが引っかかる信号機の方を動かす可動式信号機がある。おひたち様のために道路を通す!という気概を感じる。

五浦海岸 岡倉天心

日立より少し北に、五浦海岸という、波による侵食で作られた断崖絶壁が続く景勝地がある。明治時代に日本美術成立に寄与した岡倉天心と縁の深い場所である。

天心記念五浦美術館で、岡倉天心の足跡を見学した後、岡倉天心が建築した六角堂を見学。この六角堂、太平洋を臨む場所に建てられ、荒々しい波の音を聞きながら思索にふける場所とのことで、日本美術界においては、一種の聖地的扱いとのこと。

確かに、海以外に何もなく、ただ波の音だけを聞くというのは、集中力が増すかもしれない。また、付近の景勝も含めて「海の庭園」と言えるような風景で佇んでいる。庭園好きの友人も、これにはニッコリ。

岡倉先生と海の庭園を満喫したところで、北茨城の名物であるあんこう料理をいただく。あんこうのフライ、白身魚ではあるものの、独特のクセがあって、悪くない。

勿来関 和歌

福島県に入り、勿来関付近を見学。諸説はいろいろとあるが、奈良時代あたりに蝦夷の南下を防ぐ目的だったことから、勿来=来るなかれ、となったとかならないとか。

遺構があるわけではなく、あくまで観光地として整備された場所ではあるが、勿来関という言葉は平安時代以降に和歌でよく使われた言葉らしく、縁のある和歌の碑があちらこちらに見られた。

また、源頼朝の先祖である八幡太郎こと源義家の銅像と、彼が詠んだ和歌も碑として建てられている。どうやら、日本中の勿来関関連を全力でかき集めたような場所だ。

白水阿弥陀堂 浄土式庭園

いわき市に入り、白水阿弥陀堂を見学。福島県内唯一の国宝建造物である。

平泉の毛越寺よろしく、奥州藤原氏ゆかりの場所の一つであり、さらには、国宝である阿弥陀堂の他にも、浄土式庭園が美しい場所だった。庭園好きの友人もこれにはニッコリ(今回の旅2回目)。

阿弥陀堂を中心に、三方を池で取り囲んでおり、季節が合えば蓮の花が咲き乱れているらしく、そうであれば確かに浄土が再現された見事なものだったと思われる。ただ、そうでなくとも、静かな池に囲まれた、古代のお堂が見えるというのは、背景の山も含めて、とても美しい光景だった。

絢爛豪華な大名式庭園もよいが、こんな静かな浄土式庭園もよいもの、というのは、庭園好きな友人の言。

鎌倉殿の13人

白水阿弥陀堂を閉門まで堪能し、いわき市内の宿へ。この日のメインと言ってもいいことがこれから始まるのだ。友人らと温泉に入り、準備をすませ、お酒とツマミを用意し、おもむろにテレビを付ける。

大河ドラマ「鎌倉殿の13人」
※初回

三谷幸喜の大河ドラマにハズレはないので、せっかくなので初回をみんなで観ようと、立ち上がったのが今回の旅。つまり行き先は二の次だったのだ。温泉でゆっくりして観られれば、勝利条件達成なのだ。

観終わった後も、お酒が入りながら、あーでもないこーでもないと、歴史とドラマ談義に花を咲かせながら、いわきの夜はふけていった。

水戸別荘&水戸城 ニッポン城めぐり

翌朝、友人がふと言ったことが、僕らの今後の旅の仕方を大きく変えた。

「最近、『ニッポン城めぐり』というアプリを始めてね、」

曰く、日本の3000の城を位置情報で取得するという、スタンプラリー的なアプリとのこと。

僕は過去に、似たような位置情報取得アプリ「ケータイ国盗り合戦」で、およそ10年をかけて、日本全国をめぐって、コンプリートしていたのだ。

どうやら、僕のあらたな10年が、ここいわきで始まってしまったようだ。

かくして、この日の後の予定は、とにかく移動を行うこととなった。基本は来た道を戻ることになるが、水戸市内で、水戸別荘という水戸光圀公の別荘(の復元)と水戸城を見学。しっかりとそれぞれの位置情報を取得することになる。

その後、東京に戻る道のりも、なるべく多くの位置情報を取得できるよう、寄り道と通り道を行うことになった。

位置情報って、最高だ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?