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リアル九州縦断|九州2017 後編

奄美から熊本まで

熊本から久留米までの壮大な遠回り

熊本で迎えた朝、次なる目的地へ向けて移動する。夜までに博多に行かねばならないのだ。

ただし移動はローカルバスで。

これは、位置情報取得のため、新幹線なら2、30分のところを4、5時間かけ、阿蘇と日田を通ってから福岡県に入るという、超遠回りルートである。

さらに、この間で見るものはほぼ無いというのだから、正気の沙汰ではない。位置情報に全てを。

早朝、阿蘇行きのバスに乗り込む。が、ここで一つ計算外が発生。このバス乗車中で熊本ー阿蘇間で通るだろう、熊本市北側のエリアの位置情報も取る予定だったのだが、どうもこのバス、南側から阿蘇に向かう模様。これはマズイ。とはいえ戻るわけにもいかず、幸い熊本市近郊なので、次回の旅に取っておくことにしよう。

2時間の乗車期間を経て阿蘇に到着。大きめなバスだったので実に快適な2時間だった。阿蘇駅から阿蘇山を眺めながら、次のバスを待つ。やがてやってきた、いかにもローカルなバスに乗り込む。

2つ目のバスは杖立温泉行き。熊本県と大分県の境に位置する温泉街だ。1時間ほど山間を進んだ終点に、杖立温泉街が広がっていた。

あちこちから湯気が漂う風景が温泉街らしい。建物と街並みの古めかしさから言って、昭和のリゾート地だろう。

なおこの杖立温泉、由来が弘法大師にあるらしい。もう、日本の半分くらいの温泉は弘法大師由来なんじゃなかろうか。(もう半分は武田信玄の隠し湯である。)

杖立温泉から乗り込んだバスは、動いているのが不思議なくらいのオンボロマイクロバス。ここまでのバスに乗ることは中々無いので素晴らしい。

そんなオンボロバスが、一生懸命に山間の道を抜け、日田駅に到着。そして日田駅から新幹線駅である久留米駅に移動すると、ようやく福岡県入りである。

とここで久留米駅で一考。朝に取りそびれた熊本県北側の位置情報である。ここから熊本まで新幹線で20分ほどの距離である。また熊本まで旅することを考えたら。。。

久留米ー熊本間 片道3,440円

新幹線って速いな。

太宰府天満宮 梅

久留米ー熊本を往復後、太宰府に着いたのはすでに夕方だった。いくら位置情報に全てとはいえ、太宰府天満宮を参拝するぐらいの時間はある。

太宰府天満宮は、菅原道真公を祀る全国の天満宮の総本社の一つ(もう一つは京都の北野天満宮)。

平安時代に政敵の陰謀により太宰府に左遷された菅原道真に対し、死後に御霊を鎮めるために神格化されたのがはじまり。天才的だったために学問の神として有名なお方であるが、彼の祟りとされるものが雷由来のものが多いので、雷神としても知られる。

太宰府天満宮へは、綺麗に整備された参道がのびており、お土産物屋や名物の梅が枝餅が並ぶ。また、参道にあるスターバックスは隈研吾設計のもの。オサレ。

そして天満宮はさすが規模が大きいほか、年末ということもあって、年始の準備があちらこちらに見える。九州でもぶっちぎりの初詣客数を誇るので、その準備も大変だろう。また、菅原道真公の逸話から飛梅にまつわるものが多い。梅が枝餅もその一つ。また面白いのは太宰府天満宮の御神酒は梅酒らしい。

一通り参拝と見学を終え、駅から福岡市へ向けて移動。ようやくの福岡市内入りだ。

対馬フェリー 過酷

博多駅に着いたのはもう日も暮れたころだった。この日は夜行フェリーで対馬まで向かうため、その出航時間までどこかで時間を潰さねばならない。大都会福岡なので、いくらでもありそうなものだったが、年末のため休店の場所も多い。

地図であれこれ探していると、フェリー乗り場の向かいに大きめな温泉施設があり、そこで旅の疲れを癒すことにした。フェリー乗り場付近は結構な商業施設エリアになっているようだ。

深夜になり、フェリー乗り場へ。対馬行きのチケットを購入し、待合室で待っていると、やけに人が多い。これはまさか、と思っていると、大量の家族連れの帰省客たちだった。

フェリーが到着し乗り込む時間、あっという間にベッドはおろか、大部屋の雑魚寝スペースも家族連れ帰省客でいっぱいになってしまった。

大部屋から溢れた僕のような一人旅や、釣り人らしき乗客の居場所は「ロビーの床」か「甲板のベンチ」の二択。年末の甲板はさすがに寒すぎるので、僕は硬いロビーの床に横になる。

今思えば、寝返りが打てないとはいえ奄美鹿児島フェリーは寝床があるだけマシだった。恐るべし帰省ラッシュ。

それでも少しは寝ただろうか、過酷な床寝を経て、5時前に対馬に到着した。

どれだけ乗っていたのだ、という乗客を見送りながら、僕はフェリー乗り場で、未明の対馬厳原港を眺めながら、床と同じように硬くなった体をほぐしていた。

そして7時発の福岡行きチケットを購入した。

戻りの便はジェットフォイルなので快適そのもの。床よりはよく寝ることができた。
そしてそのまま福岡空港へ。LCCの座席でも、床よりはよく寝ることができた。

位置情報に全てを。

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