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無題 2023.2.6-

ちょっと重々しい内容になってます。
わたしの中で起きたことの消化と昇華のために書いています。

今週入ってすぐ、相方の片頭痛が酷そうで気にかかっていました。思い返せば今回の地震の発生前日から症状が顕著で、時間の経過と共にトルコとの国境閉鎖にシリアー特に反体制派の地域に外からの支援が未だに届いていないことが現地メディアで伝えられるようになり、外から見ていると相方の頭痛はそこに反応しているかのようにすら見えました。そして昨日の午後、相方の怒りがついにピークに達しているように見えました。

なぜそう見えたかというと、わたしが、How are you feeling now? と聞くと、怒りを口に出し始め、普段より大きめな声で、シリアの人たちの大半が内戦以降体験しているであろう理不尽さを、そして国際社会もその理不尽さを生み出していることに加担しているという現実に見向きもしない、ということを色んな角度から言葉にしていたのですが、彼と一緒にいて今回ほど地底から噴き上がるマグマのような怒りを感じたのは、初めてだったからです。

最初は、受け止めるには大きすぎてどうしようと思ったけど、その場で受け止めるとか共感するとか、つまりわたしからの対応など1ミリも求められているわけではなかったんだ、とハッとして我に返った瞬間から、この人が怒りのエネルギーを感じながら放出するということが起きてるんだな、と徐々に思うようになり、その場にいてただ起きていることを見ていました。

相方の怒りに触れたとき、今回はいつも以上にその背後にある悲しみが見えました。怒りまくっている相方の横で、何故かわたしが大泣きしました。文字通り、ワンワン泣きました。この10年、その理不尽さになんとか耐えてきたけれど、今回の地震で更に、母国の何の罪もない人々が世界から孤立してしまっていることを、外の世界から客観的に確認せざるを得なかった。ものすごく端的に言葉にするとそんな感じのことが彼には起きているんではないかと思いました。彼の中には怒りだけでなく、きっと大きな大きな無力感と喪失感もあるんだろう、と想像しました。

想像するしかないのは、体験がない分わたしの理解は及ばないということで、共感すらできないのが本当のところです。だから、最初の頃は、共感できない代わりに罪悪感を持ってきて対応しようとした自分がいたのも事実で、ある時から、それは全くもってわたし側の事情でしかないな、と思ったときから、ただその場に居るようになりました。彼自身、長年国外にいて、少なくともミサイルがいつ飛んでくるかわからない場所にはいないけれど、体制派と反体制派に国が分断されていく中で、表向きに自分のことを一切語らなくなったのは、一緒にいて想像がつきます。以前はやっていたSNSも全部やめたと言っていました。

そんな相方から上っ面の理解や共感は全く求められていないな、というのが見れるようになってくると、逆にそれは自分の『すぐ何でも背負いたがる癖』だったんだ、と思えてきて、自分にオエっとなっている(いっぱいいっぱいの感じ)この頃でもあります。

昨年春から彼との生活が始まってからというもの、相手の中に起きていることが自分のことのように感じられて、自分の気分が左右されることが時々あります。これこそ、場を毎日共有している人とのなせる技だな、と感じます。実家にいた頃は、少なくとも親と3人の三角形で、子供の頃は最大5人いたことと単純比較すると、2人だと一直線上にお互いに相対するしかないわけで、エネルギーの逃げ場がないから緊張が強まるんだなあ。THE オポジション。そんなことも体感しています。それに加えて、土風柔軟宮チームの相方もわたしも、重ための感情を感じたり表現するのを無意識に避けるところがあるせいか、どちらかの中に消化されないエネルギーがあると、その場が重々しい感じになることが昨年〜今年と暮らしてきてわかってきたところだったりします。

今回の出来事、特にこのエネルギーの仕組みというのか、作用というのかが、とてもわかりやすかった。

相方と結婚するときに、まあまあ身近な人から、国籍欲しさの結婚詐欺じゃないかと言われたことがあったんです。そういう事例も実際には少なくないみたいなので、言われること自体はいいのですが、事実から言うと、日本は国籍をそんなに簡単にくれる国ではありません。結婚したとしても、そのうち永住はできてもパスポートは帰化しないともてないんです。難民認定の数も圧倒的に少ないです。この先何年後かに日本国籍を仮に彼が持てたとして、すでに彼は他の国籍を持てる可能性を探しています。お金で買える国籍もあるんですよ。あっせん業者があります。価格にしたら何千マン単位だったかな。

人は誰しも違う人生を生きるし、時に想像もつかない人生を生きている人もいて、そんな人とたまたま縁あって家族になることになったわたしができることは、彼のような人が体験せざるを得ないことを客観的に共有することかなと思うので、最後に少し書こうと思います。以下書くことは、一般的に知られていることです。

シリアのような世界から制裁対象となっている国の国籍を持っていると、国外にいるからこそ様々なハードルがつきまといます。国によっては、銀行口座が突然閉じられるような脅しめいたことが起きたり、パスポートのような身分証明が国の信用度に比例して扱われることも多々あります。わたしも一度だけ銀行でそんな扱いを受ける場にいたことがあります。国内のメガバンクです。他にも細々と色々あるけれど、相方のプライバシーに及ぶのでここでは書くのをやめておきます。実は身近にそんな体験をしている人がいることを知ろうとしてくれる人が一人でも多くいたら嬉しいです。

わたしなりのささやかな平和貢献活動、としておこうかな。読んでくださった方、ありがとうございました♥

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