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うそつきとトマト④


「何を困って居るのですか?」
と尋ねると王様は力なく話しだした



「私には妃がいる。名をブリエラともうして、隣の国の姫だった娘だ。



隣の国は魔法使いの国で、ブリエラも魔女であった。ブリエラは優しくてそれはそれは美しい姫で皆んなに愛されていた。



ブリエラにはカルラという妹がいる。




カルラは嫉妬深く、いつも1番でなくては気が済まない性分だった。



ある日カルラがこの国に遊びに来る事になった。



カルラははじめ美しい風景や穏やかな暮らしを見てたのしんでいた。



しばらく滞在するうちに、皆んなに愛されているブリエラの事が羨ましくおもえたのか、ブリエラを魔法で醜い姿に変えてしまった。



醜い姿にされても皆んなはブリエラの事が大好きだった。



ブリエラも今までと変わらず皆んなと接していた。



そんな姿をみてカルラはさらに姉を苦しめる方法を考えた。



そしてこの国の住人に魔法をかけ嘘がつけないようにしてしまった。



ブリエラに会うと本当の姿の事を口にしてしまうので、ブリエラを傷つけてしまう事に酷く心を痛めて、誰もブリエラと話さなくなった。



そんな皆んなの姿をみてか、ブリエラは皆んなに会わないよう、町外れの山小屋でひっそりと暮らすようになった。



そこで君をうその名人と見込んで頼みがある。山小屋に行ってブリエラの様子見を見てきてもらえないだろうか?」



王様がいうには、ブリエラの事が心配で一度様子見を見に行ったのだが、力無い様子でベットに横たわっていたそうで、病にふせっているのかとても心配しているので様子を見てきてほしい。



もし病であれば少しの間だけでもよいので看病してもらえないだろうか?というのだ。




僕は王様が気の毒になりその役目を引き受ける事にした。



さっそくブリエラの住んでる山小屋にむかった。



正直、少しこわかったし、僕なんかで大丈夫なのか不安だった。



うその名人て、そんな名人がいるのか?



と疑問におもったが、嘘がつけない国のなかでは、うそがつける僕は唯一の存在だったようだ。



そして僕が選ばれた理由だが、実は僕が話す空想の話は、その場にたまたま居合わせたこの国の人によって、本にされて読まれていたらしい。



僕の語った数々の冒険に心躍らせていたというのだ。




という事で僕に白羽の矢が立ったという事だ。



複雑な気分だけど、とにかくこんなふうに人に必要とされたのは初めてなので、頑張ってみようとおもった。



しばらく歩くと森の中に一軒の山小屋があった。




山小屋は沢山の花々に囲まれていて、家の裏手には井戸と畑があった。


⑤へつづく


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